APH

□コントラストと領域
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当たり前の話だが、彼の手は私より大きい。
大きくて、おそらく人より一段と温かいと思われるその手が好きだ。よしよしと撫でられれば心まで落ち着くようで、もっと撫でて欲しくて抵抗しなければ、いつも可笑しそうにしていた。
今もなんだか撫でられている気分がする。あぁそうか、昨夜は彼の家で夕飯を食べたんだ、だからそんな気分がするのかはたまた夢か…
・・・
夕飯食べて、それからどうしたんだっけ?
曖昧な意識が段々と鮮明になってくる。パチリと目を開けば目の前には彼がいて、頭を撫でていた。

「あ、目ぇ覚めた?おはよう」

褐色の肌と白いシーツのコントラストがなんとも眩しい。カーテン越しに差す朝日にロザリオがキラっと光る。
肌・・・ロザリオ・・・はだか・・・?
ハッとして、慌てて自分の着衣を確認する。シワにはなっているが特に乱れた様子はない。

「あぁ、何もしてへんよ」

私の行動から思考が解るかのように、面白そうに声を出して笑う彼。

「寝てる間にシャワー浴びたから、半裸は俺だけやで」
ほらとシーツをめくってみせる。

「あ、あの…」

「ええとこで寝てしまうんやもん」

まだ可笑しいようで、時折指で目じりを押さて涙をぬぐっている。
あぁ思い出した。昨夜は抱きしめられ、何だか今まで以上にドキドキしたはずだ。彼の心臓の音があまりに心地良いのと酔いが回ったのとで意識が薄らいだのを覚えている。

「ごめん…あと、ベッドまで運んでくれてありがとう。重かったでしょ」

「そんな事ないから気にせんでええよ」

何故あのタイミングで寝れるのか自分の神経を疑う…
どんな間抜け顔で寝ていたのだろう。変な寝言など言っていなかっただろうか。
考えだすと恥ずかしさのあまり「あああぁあ」と負のスパイラルへと突入しそうだ。

「ほんとにごめんね?」

「ええよー。また次回じっくり」

そう言うと撫でていた頭をぽんぽんとしながら、イタズラっぽく笑った。

「さ、起きよか。シャワー浴びてきたら?朝食用意しとくわ」

「重ね重ねすみません・・・」

先にリビングへと移動する背中を見送って、ハァァとため息をついた。
とりあえずスッキリしようと、お言葉に甘えてシャワーを借りた。
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