□お互い様
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教室


目の前にいる、
まわりの連中から言わせれば一匹狼


(こんなやる気のねぇ狼、狼に失礼だろ…)


「何見てるの」

「あ?あー…、

今日俺ん家親いねんだけど。」

酷い誘い文句
もしもこれが可愛い意中の子に対しての言葉なら、下心丸見えで男としてはどうなんだ。とか思うだろうけど、

(コイツだし…)


「ふぅん。
じゃぁ気が向いたら行ってあげる。」



(どうせ来るくせにどうして上からなんだコイツは…って、俺もか。)



俺と祐希は馬鹿げた関係だ。
それはもう笑えるくらいに。

幼馴染みなだけあって、大概のことは知ってるつもりだ。
お互いにお互いの気持ちを知ってからは当たり前に、それも都合よく利用しあった。
容易く言えば身体の関係。身体だけのお付き合い。
ではない気もするが、この際その言い方の方が吹っ切れる。


(まさかこんな近くにいると思わねぇだろ、俺と同じヤツが…)




「お邪魔します…」

「おー」

(ほら来た)



抱き合う時の決まりごとがある
大事な。
それは一番最初に関係を持った時から続いていた


「ちょっと、何回言わせるのさ、要。
眼鏡とネクタイ外して、前開けなよ」


「お前もだろ。
前髪、…早く分け目なんとかしろ」

「しろとか命令しないで、もっと似せる努力しなよ」

「ソレやったらやったで似てないだの何だの文句いったのどこのどいつだよ!」

「俺は顔がそっくりだから要の方が得してる気がするんだよね、真似も出来るし癖も知ってるし…」

「それ言いだしたらキリねぇだろ!お前は普段から一緒にいんだから…おれだって好きでこんなこと…」


「…だからもっと…」







((悠太みたいに…))








お互いに利用して一瞬だけ気持ち良くなる


触り合っていれば興奮する。男同士だっていうのに。手の中にあるソレはかたくなる一方だ。

脳裏のあいつは可愛くよがってくる。
想像だけで熱くなる
握る手にも力がこもって

「ッは…」

俺はたまらず声をもらす



見た目は兄に成り代わった弟

(視覚的には最高なのに、)

普段頑なに声なんて出さない祐希が浮事のように呟いた

「ゆ、た…」



悠太


俺なんて見えてないみたいに吐き出す言葉

(いつだってコイツは…)


祐希の震えた声を聞いて、コイツが直面してるのは、俺の淡い恋なんかより
ずっと深く酷なものなんだと思った。

(同じ相手なのにな)

「ン、は…」



いつも手で果ててお終いだ。俺も祐希も攻めたい方らしく、頑なにどちらも折れなかった。
祐希が
悠太なら考えなくもないんだけどねぇ
とかぬかしたもんだから、コッチも意地になったんだ。

「な、ぁ…祐、希。」


「何?も、イ、きそ…なの?」

「違…」
(くはないけど…)

「な、めてやる」

「は?…って、ちょ、と!」

蹲って祐希の中心に唇を寄せる。軽く舐めただけでヒクつくのは、可愛いと思えた。
そのまま頬張るように口に含むと頭上からくぐもった声が聞こえた。

「ン、ァ、…ッ」


俺の髪をわしづかみにして脚を閉じようとする
離したいんだか、そうじゃないのかわからないような今の行動に普段の気だるさが感じられなくて笑えた。

(意外と可愛いな…)


とか、思ったのは一瞬だ。
「…ンあ!ッオイ…足!」

俺の立ち上がったソレに添えられ雑に上下する祐希の足。

「テメェ…」

「悠太だと思えば?」

「ッふ、ァ…いつは、んな事しねぇッよ!」

「興奮してるくせに…」

「うっせ!」

俺が口を離したばっかりに余裕が出来たらしい祐希は俺の内股に頭をのせて付け根をなめあげた。

「ヒゥッ…」

びっくりして喉が鳴った俺を横目でみる祐希

はずかしすぎる

「手、とめないでよね。要」

どうやらスイッチを押しちまったらしい。

唇を舌で潤すコイツに
ゾクッとした。

悠太に似せた声と仕草にか、祐希自身にか…


こんな事をする度に
少しずつ進んでしまう行為に溺れて、いつか麻痺してしまうのかもしれない。


傷ついた時も、こんな事して慰めあえるだろうか
とか、
せめて悠太がきづいてやりゃ
とか、

コイツの心配ばっかして、俺はいつでも報われねんじゃねぇかと思った





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