銀
□今日も明日も7
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引っ越したばかりの新居
せっかく集まってやったっつうのに
ジミーからのメールの返信は、用事があって今日は無理だとか。
約束してたわけでもないし、しゃぁねぇと思ったのは俺だけだったらしく、
何様だ山崎のくせに
と舌打ちした沖田くんはすぐに返信をする
なんて送ったのかは知らねぇけど、コイツの事だ
きっと理不尽な内容に違いない
けど、メールはそれっきりかえってこなくなった
懲りずに今度はハンズフリーにしてジミーが電話に出るまでならし続けるようだ
ガキだなーと呆れながら、目の前のホールケーキの生クリームを一舐めする
こんなケーキ誰かの誕生日じゃねぇと買わねぇし、勿体ないだろ
「お兄さん、1人で食べるのやめてよ」
さっきまで高杉とゲームをしていた神威がテーブルの反対側からケーキの真ん中にあるチョコプレートと摘みあげた
「おい、それはじゃんけんだろ!普通!」
「いつもオレにくれるから、コレはオレのだよ」
(なんだそのジャイアニズムは)
何の躊躇もなくパキッとチョコを食べるコイツよりは、ジミーに"用事"を優先されてムカついている沖田くんの方が分かりやすく可愛いのかもしれない
[もしもし
あれ?
もしもーし?]
沖田君の携帯から声が聞こえる
出たようだ
気付いていたのにわざと
今気付いたような言い方で返事をする沖田くん
何処にいるかと訊ねると、なぜか焦ったようなジミーの返答
すぐピンと来た
こういう時感が働くのは沖田くんも同じようだ
「飯行くぞ飯ー」
「へーい」
「…」
返ってきた返事は沖田くんだけ
不思議に思い振り返ると
物凄くかったるそうな顔の高杉と、ニコニコしながら手を振る神威が居た
(留守番してると?…人ン家で)
「鍵閉めて帰れよ。ポスト入れとけ」
作ったばかりの合鍵を高杉に投げ渡す
「帰んなきゃ駄目かよ?」
「当たり前だ。お前はオレの彼女ですか」
俺は呆れたように言い返したが、欠伸をした高杉はダルそうにのそのそ人の布団に入りそのまま動かなくなった
寝るつもりかコノヤロー
「神威君、そいつ引っ張りだして帰るように」
「えー、」
コレに付き合っているといつまでも出れないので早々にあきらめる事にする
高杉はともかく神威がこないのは意外だった
店に入ると店員に断って山崎を探す
けど、ソレより先に目に入った人影に俺は内心ニヤリと笑ってしまった