□こうりゃく
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授業中

俺の視界に入る奥村くんはいつも眠そうに頭を揺らしている





「なぁ、奥村くん?何でそないに眠そうにしはんの?」

休憩の合間
俺は気になったままを奥村くんに投げ掛けた


んー…と曖昧な返事の奥村くんは眠そうな顔のまま俺を見上げる

「修業がなぁ、

あ、あと雪……

…なんでだろなぁ」



「…ふぅん?」
修業が何かはよぅわからなんけど、ごまかされた気ィが…



机に突っ伏していたせいで頬にノートの跡が付いている奥村君



(なんや可愛いなぁ…)



無意識に伸びた指先が奥村君の頬を一撫でして我に返った


「くすぐってぇよ…志摩…」

眠そうで少し呂律が悪い

フニャッと笑った奥村くんは目をガシガシ擦っている


「……ッ跡、ついてはるよ?」

自分の頬を指指しながら
ヘヘっと俺が笑うと、つられて奥村くんも笑った


「…奥村君て、」

「はーい、席に着いて」


見計らったように響く声

俺が振り向くと、そこには爽やか過ぎる顔の若先生






「では、この問題を


志摩君。」

お願いします、と柔らかく笑う先生
目が笑ってへんように見えるんは、俺にやましい気持ちが芽生えてるいう証拠なんやろか


前を見るとまたフラフラ頭を揺らす奥村君が見えてつい、顔がゆるんでまう


「ではこの問題は…
志摩君」


「はい」


これで5回目の指名

あぁ、今度は口すら笑ってへんよ先生


「なんや志摩、なんかしたんか?」


隣でそう訊ねる坊には苦笑いするしかなかった





どう攻略しましょか

気になるあの子




(まずは弟はんに兄離れしてもらわんと。)






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