Jigokudo

□光と闇の狭間で揺れる甘美なる憂鬱
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「なんや小走りで、可愛ーな」

「馬鹿言ってんじゃねぇよ。誰のせいだと思ってんだ」

「あ、歩幅か。すまんなぁ足長くて」



…絶対わざとだと思った
元々身長差のある二人だ。歩調が明らかに合わないためにどうしても椎名は小走りな状態になってしまう

だがそれがはたから見るとまるで暁に椎名が健気なかんじで付き添っているようにも見えなくはないわけで……かなり屈辱だ

「お願いしたら合わせたってもえぇで」

「断る」

「素直やないなぁ。ほんなら姫抱っこでつれてっても…「刔り取るぞ」

「そんな怖い顔せんといて、俺ら友達やん。なっ」

「こんな年が数世紀も離れた友達はいない」

なんでこいつと話しているだけでこんなにも会話が漫才じみてくるのだろうか……関西人とは恐ろしい

そんなことを思いながら半ば引きずられるような体勢のまま二人は上院町の繁華街の方へと歩いていく








しばらく歩いていると暁が何を思ったのか上の方を指差して尋ねた

「こことかどうや。ゆっくり出来そうやで」

彼の指指した先にあったのは「HOTEL」の看板と何だか趣味の悪いお城のような建物……


「死んで下さい。塵一つ遺さず」

取り乱す事なく淡々と椎名は返した



「なんやぁいけずやなぁ、てかおもろない?」

「むしろ不愉快だ。俺が女ならセクハラで訴えて確実に勝てる」

「あーこの身体まだ気に入っとんねん。警察沙汰は堪忍や」

まぁその前に俺捕まらへんもーん♪なんて底抜けに明るく返されれば流石の椎名も付き合いきれなくなってくる

「真面目にやらないなら俺は帰るぞ」

「いやん、待ってぇな!置いてかんといてぇ」


この分じゃ自分よりも付き纏われている蒼龍は俺より心労を溜めているに違いない。とかく冗談の通じない人種だから

そんな蒼龍の気持ちがちょっとわかったところで丁度目に入ったファミレスに二人は行くことにした







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