Jigokudo

□Non touch kiss
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「うわぁソーちゃん赤くなってる…」

「どーした蒼龍〜、固まってんぞ〜」


しかし蒼龍は唇に手をやってフリーズしたままだった


「蒼龍?」

目の前でひらひらと手を振っても反応なし
リョーチンがタコ踊りで一周しても無反応


「…ひょっとしてソーちゃんって」

「ウブなんだろ」

「俗世間と掛け離れた生活してるからな〜…」

大霊能力者と称される彼は世間にとんと疎い

三人悪の話を聞いていて真面目に何のことだかわかっていないことがままあるのだ

まぁそれで彼の日常に支障はきたすことは殆どないのだが


「お〜い蒼龍、ソーちゃん!オッサン!若作り魔導師!」

そこまで言って蒼龍の腕が不意に上がりてつしの頬を摘むとそのままギリギリ…と抓り上げた

「ひてててててっ!!」

「何だ聞こえてんじゃん」

「全く…いきなり何をするんだい」

ゴシゴシと唇を拭いながら蒼龍が溜息をつく

どうやら脳内整理がついたらしく少し頬が桃色に染まりながらもいつも通りに戻っていた

「とにかく私はこれで失礼するよ。おやじさんに聞こうだなんて思わないでくれよ!」

それだけ言い残すと蒼龍は慌ただしく帰っていってしまった

「行っちゃった…」

「だからって…」

「聞かない訳…」

「ないだろ?!」

三人の顔がニヤリと企むような笑みになる

「っしゃ絶対聞き出してやるぞっ!」

言うが早いか三人は地獄堂目指して走り出した







漸く三人の姿が見えなくなった頃蒼龍は深く溜息をつくと近くの塀にもたれ掛かる

「っ………」

ぶつかった瞳から感じた本気が焼き付いて離れてくれない

いつもいつもあの存在に翻弄されてしまうのだ
どうしてか彼にかかると自分は冷静なそれを掻き乱されてしまう



「まだまだ修行が足りないな…」




そう呟いた彼が奥底に隠した想いに気付くのはもう少し先の話のようである…






END





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