Jigokudo
□シーナンといっしょ〜シーナンと暮らそう
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「えっ?!」
「あんたが俺を見る目が違うのは…そいつに重ねているからなんだろ…?」
「…長いこと会っていないからね」
「何故?」
「何故だろうね。私に勇気が足りないからかな」
何故だろう
この涼しい瞳に見つめられていると相談せずにはいられない気持ちになってくる
元来は相談を前提とした対話用のペットらしいからそのせいかもしれない
「自信がないんだよ。一番に愛してもらえる自信が」
「………」
「彼の側には彼にとってかけがえのない人が既にいて…きっと一生かかってもその場所に取って代わることなんて出来ない」
あの子はきっと思う以上に彼を大切に思っているから
どうすることも出来ないとわかっているそれが悲しい
「見掛けによらず欲張りなんじゃない?あんた何様?」
「…っ!」
「その程度で諦めるような気持ちなら所詮クズだよ。価値ないね」
容赦ない意見は追い打ちをかけるように胸にズバズバと突き刺さっていく
「あんた今恋人って言わなかった?だったらもう少しらしくしたら?…自分で信じられないなら先は見えたもんだね」
「…本当に容赦ないね、うん。かなり効いた…」
少し泣きそうになってしまったが同時になんだか少し嬉しくなった
「少しは頭冷えたか。このヘタレが」
言いながらシーナンが足にちょんと蹴りをいれた
「痛いよシーナン」
「フン…」
世話が焼けるといった感じでそっぽを向いた彼をそっと手の平で包んで抱き上げるとポケットに入れてやった
「帰ろうか、シーナン」
見上げればもう日は暮れかけて橙に染まっていた
「帰ったら一緒にご飯にしよう」
少しシーナンとの絆が深まったような気がした日だった
〇月◎日
シーナンをお風呂に入れてやろうと決めた
とりあえず手頃な洗面器にお湯を張ってみる
「シーナン、洋服脱いでくれるかい?」
私の手では大きすぎてシーナンの服をうまく脱がせることが出来ない
「…いーよ」
それだけ言うとシーナンは服を脱ぎ始めた
脱ぎ始め…
(〜〜〜〜〜〜っ!)
何かが込み上げてくるような気がして思わず鼻を押さえた
何度夢に見ただろうか裕介君のヌード
いつかいつか…そんな大人な関係になるだろうと期待し続けて早半年…きっと思うよりも華奢で白くて…
(あぁ…あぁ…幸せだ…!)
「…いんどらやそわか〜っ!」
ズバッ!!
「うおっ?!」
間一髪でシーナンからの斬撃を避けた蒼龍に彼は冷ややかに言った
「だからそういう目で見るなと言ってるだろ」
「申し訳ゴザイマセン…」