Jigokudo
□どっちもどっち
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「今更そういうこと言う?」
行くなと言われれば行きたくなるし、教えてあげないと言われれば余計に知りたくなる
それが子供心というものだ
更にあの蒼龍が地獄堂のおやじに持って来た話だ
面白くないわけがない
「とにかく今回はダメだ」
「ケチ」
「なんとでも」
やんややんやと言い合いながら二人は地獄堂を目指して歩き出す
「大体一人でなんでも出来るとか思い込んでるなんて思い上がりも甚だしいんじゃない?」
「その言葉そっくりそのまま君達にお返しするよ。君達こそなんでも自分達の手に負える等と過信しないことだね」
「その位の分別ついてるさ。まだどんな内容かも聞いてないのに一方的に無理とか決め付けるのは横暴だね」
「今回は駄目なんだ!どうしても」
「………?」
頑なに拒み続ける蒼龍を見つめながら椎名はあるひとつの考えが浮かんだ
「なんかやましいことでもある訳?俺達がいちゃまずいことでも??」
「そ、それは…」
「白状したまえよ、ペイルブルー君」
茶化すように言った椎名の頭上に勢いの篭ったゲンコツが落ちる
「ペイルブルーと呼ぶな!思い出して…あ!」
言いかけてしまったと舌打ちするがもう遅い
ふーん…と勝ち誇ったような笑みを浮かべて椎名が彼の顔をまじまじと覗き込んだ
「ひょっとしてまたサーヴァレンタインと組むから俺等に来るなって訳?」
卿の名前を耳にした途端蒼龍は目に見えて脱力の色を漂わせた
どうやら図星だったらしい
「………鋭いね」
「そりゃ目の前でセクハラの嵐だもんな。ご愁傷様」
他人事のように言い捨てて椎名は鼻で笑い飛ばしてやった
「卿が来る位別にどうってこと…」
「絶対ダメだっ!」
何気なく呟いた言葉に刺すような制止が飛んでくる
「別に俺達は蒼龍がセクハラされてるからって冷やかしたりしないよ。ちゃんと見なかったことにしてやるから」
「いや…そういう問題じゃなくてだね…」
「……?」
どうも歯切れが悪い
何かあるのだろうか?
「何、二人っきりで会いたいとか?蒼龍もなかなか隅に置けないね」
「それはない」
茶化すように言った椎名に蒼龍は見事な即答で返した
「でも俺に来るなって言ったって満場一致で決まると思うけど」
「うっ…」