Jigokudo
□Blue Velvet
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「そう。勝手にどこだって行けばいい。オレには関係ないね」
「…つれないことを言わないでもらいたいね」
溜め息のように囁かれてさっと顎を捕らえられてしまう
あ、キスされると思った時にはすでに遅く
コーヒーの苦味を伴って唇が重なり合う
ここは死角になる観葉植物も立ててあってきっと誰も見てはいないだろうとは思ったけれどやはり恥ずかしい
何が恥ずかしいって、突然にこんなことを恥ずかしげもなく実行するこいつの存在が
「いい歳こいてはしゃぎ過ぎなんだよ…恥ずかしい奴」
つっけんどんに言ってみせても裏腹に指先は確かめるように唇に触れてしまう
そんなオレをなんて可愛いみたいな惚気た眼差しで見つめてくるあんたを心底殴ってやりたいと思う
「愛しているよ…裕介君」
「知ってるよ」
「私が返してもらいたいのはそんな可愛げのない言葉じゃないんだけどね」
「………」
おいおい期待するなよ
そういうこと冗談抜いて言える性格じゃないの、あんたが一番知っているくせに
…その目、反則だ…
「…オレも、あんたが好きだ…っ」
いつもみたいな余裕が出せないのはこうして二人きりで顔合わせているからなだけじゃないんだろうね
…きっとオレもこいつにべた惚れっていうことなんだろう
END
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