King gainer
□それが大人のすることか!
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「…………」
バッハクロンのデッキにて、先程から通信機を睨み付けているこの男
彼の名はゲイン・ビジョウ。ナイスミドルに片足突っ込みかけているおっとこ前のエクソダス請負人である
そんな彼の最近の楽しみは、オーバーマンアリーナのキングの称号を持つ少年で現在ガウリ隊のオーバーマン乗りのゲイナー・サンガをおちょくることだった
ゲインはコールのボタンを押すと目的の人物が出るのを待った
「…あ、通信だ」
その頃ゲイナーはサラと共にバッハクロンへ向かっている最中だった
以前サラから渡されたガウリ隊員用の通信機。正式に入隊してからはキングゲイナーの整備のことやら作戦やらの呼び出しなどで彼女以外からもかかってくるようになっていた
今回もそれ関係かと何気なく出たゲイナーだったが
『よう、青少年』
「ゲインさん?」
『ヤらないか』
外は寒かった
たが今この瞬間ゲイナーの周囲の温度は更に下がって氷点下に到達したのではないだろうか
通信機が潰れてしまうんじゃないかというくらいに強く握り締めながらゲイナーの肩はわなわなと震えていた
「どうしたのゲイナー?」
流石に様子がおかしいことに気付いたサラが心配そうに声をかけてきたがなんだかそれがまるで遠くの出来事のように聞こえた
「…サラ」
「な、なぁに?」
「ごめん、先に行くよ」
「えっ?ちょ、ちょっと待ってよ!」
まるで心ここにあらずといった感じにつぶやいて駆け出したゲイナーにサラは一拍遅れてあわてて走り出した
「ゲイン、これが現在の物資の在庫リストだ」
「んー…相変わらずノープロブレムとはいかない状況だな」
ガウリから渡された書類に目を通しながらゲインは肩を竦めてみせた
物資なんていくらあっても足りないものなのだ
それをなんとかするのも請負人である自分の腕の見せ所というところだろうが
そんなことを考えていたゲインの耳に乱暴に床を蹴るような足音が聞こえてきた
怒りの感情がそこからひしひしと伝わるそれは、間違いなく彼が待ちわびていたものだった
その人影はある程度まで近付いてくるとぴたりと立ち止まり、そして手に持っていたものを振りかぶると力一杯投げ付けてきた!