King gainer

□しってるかい?しってるかい?
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だいすきはだいきらい
だいきらいは……





「ゲイナー、一杯やらないか?」

オーバーデビルの一件から一週間、指導者を失い混乱するシベリア鉄道の網の目を掻い潜ってエクソダスの旅を再開しようやく目的に近付いてきたところ


きっと最後になるであろう補給を行う為にドームポリスに立ち寄った日の夜のことだった

アナ姫の部屋で彼女の遊び相手をしていたゲイナーにゲインが酒瓶片手に声をかけてきた

「……僕は未成年なんですけど」

「堅い事言うなよ少年」

「いけませんよゲイン。お酒は成人に達してから飲むものです!」

2人の非難もどこ吹く風にゲインはゲイナーの腕を掴むとさっさと歩き出した

「ちょっと!」と抵抗はしてみるもののやはり力の差は歴然なものでびくともしないままにゲイナーはずるずると引き摺られていく



ぱたりと閉められた扉の向こうでアナ姫は呆れたように溜め息をひとつついた






ちゃっちゃとコートを着せられゲインの部屋のある移住ユニットまでの暗い道のりを2人は黙って歩いていた

ゲイナーも諦めて自分で歩き出したが表情は未だ晴れないままだ


かつ、かつと2人分の靴音だけが静寂の中に響く

しばらくすると、見慣れた建物が目に入り、ゲイナーは小さく溜め息をついた


アデット先生に部屋を占領された一時期はここにお世話になったものだった

今となっては何だか懐かしい気もするが

「いつまでもそんなとこ突っ立ってんな。風邪引くぞ」

「わ、わかってますよ!」

沈みかけた思考を引き上げるようにゲインの声がゲイナーに投げ掛けられる

ポケットから鍵を出して先に歩くゲインの後をゲイナーは慌てて後を追った





がらんとした一人で住むには絶対広過ぎるその部屋
前に来た時は随分と乱雑に散らかっていたものだったが、今は心なしかどこか片付いているようにも見える


旅の終わりが近いからだろうか




(終わり…か)


エクソダスをする自分達にとっては始まりでもあるが、請負人である彼にとってはそこが終着点なのだ

これが成功すればゲインはまた新たなエクソダスを望む人達の元へと旅立つのだろう


そう思った途端何故か胸がちくりと痛んだ





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