King gainer
□おとなあじ☆キス
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キスってこんなものだったか?
「っん……」
倉庫の壁を背に感じながらかれこれ三分は経っているんじゃないかと思う
キスってそんな長い時間やるものだっただろうか…というか苦しい!
舌と舌をねっとり絡ませたり甘噛みしたり、離れろとばかりにゲインの胸倉を力なく押している僕の手とは裏腹に彼の指はさっきから項とか撫でてくるし
これは一体何の拷問?
そろそろ本気でやばい
そんなことを思っていた頃漸く唇が溜め息と共に離れていく
「まだ一分も経ってないぞ。相変わらず坊やちゃんだな」
呆れ気味に言われた暴言に息が切れていた僕は返す術がない
ただ情けなく肩で息をしているだけだ。悔しい
しかもまだこっちの息は調っていないというのにまたもや唇を近付けてくるゲインに僕は慌てて待ったをかけた
「待っ…まだ苦し…っ」
「なんだだらしないな」
「…るさ…い」
それはあんたが異常なだけだろうが
声を大にして言ってやりたかったがいかんせん酸素が足りない
倉庫のほこりっぽい空気をゼェゼェ吸いながらそれでも精一杯に彼を睨み付けた
「まさかしてる最中息止めてるんじゃないだろうな」
なんだかゲインが信じられないといった顔をしてこっちを見ている
「いいかゲイナー。こういう時は鼻で息するもんだ」
鼻で息……相手に息かかったら興奮してんのかと思われて恥ずかしいんじゃないか?
そんな心の中の疑問をまるでぴたりと読み切ったかのようにゲインがやれやれと肩を竦めた
「だからな、少しずつ息すればいいだろう?」
「そ…そういうもの…なんですか?」
あぁやっと声が出た
ようやっと呼吸も楽になったころにゲインが待ってましたとばかりに肩を掴んでそりゃもうイイ笑顔で言い放った
「まぁ何事も実践だ。なぁ少年」
「ちょっ…まだ…?!」
抗議はさっさと唇に飲み込まれ最後まで出る事はなかった
キスってもっとこう優しいものじゃなかったのか?
こんなのキスなんて認めませんから!!
おしまひ
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