King gainer
□ケダモノだもの
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「ゲイナー、トリックオアトリートです!」
「はぁ?」
ゲインに呼び出されてバッハクロンに顔を出したゲイナーを待ち構えていたのは頭の上からシーツをばっさり被ったアナ姫だった
そのシーツには何故かあかんべしたぶさいくな顔がマジックペンで描かれている
季節外れの肝試しか何かだろうか?
「よう、来たか少年」
「何の騒ぎですか一体…」
よく見ると変な格好をしているのはアナ姫だけではなかった
ゲインは何だか茶色い獣の耳と尻尾をつけているしアデット先生は背中から蝙蝠の羽根みたいなのをつけているしサラは………魔女っこか?凄い可愛い
「これはな、ハロウィンっていうお祭りだ」
「祭り?ヤーパンのですか?」
「いいや。だがアナ姫様が文献を調べていたら興味深い習わしが出てきてだな…」
「それがハロウィンってことですか?」
「何でもその日人々は思い思いの仮装をして家を回り、さっきの言葉を言ってお菓子を貰ったらしい」
「ふぅん……」
どういう経緯でお菓子が貰えるんだかさっぱりわからないが敢えて詳しく知りたいとは思わなかった
そんなことより自分が何故ここに呼ばれたのか…そっちの方が重要だ
しかも…
「…………」
ゲインの顔が何だか意味深ににやついている
そんな時はたいていろくな目にあった試しがない
経験から導き出されるそんなありがたくもない結論に思わず後ずさったゲイナーを逃がすまいとしっかり腕を掴んだ
「勿論お前も参加するんだぞ。ほら、着替え手伝ってやる」
「やっ…いいです!家で大人しくして……うわぁっ!」
あれよあれよという間にゲインはゲイナーを軽々と担ぎ上げると早速アナ姫の部屋へ向かって歩き出した
「綺麗にして舞踏会に送り出してやるよ、シンデレラ」
「誰がシンデレラだっ!」
数10分後、非常にぶすくれた表情のキャサリン…もといゲイナーが鏡の前に座っていた
「何で僕がこんな……」
今度はイヤーマフはなく代わりにその頭の上にぴんと立った二本の真っ白なふわふわの耳
綿毛のようなウサギ耳…
こんなのアナ姫様やサラがやった方が絶対絶対似合うのに!
「はっは、可愛いぞゲイナー君。よく似合っている」
「そんなこと言われても嬉しくないです……」
楽しげに笑ってそんなことを言うゲインにゲイナーはなるべく鏡の方は見ないようにしながら力無く答える
実際こんなの嫌がらせ以外の何物でもないのだ。なんだって自分がこんな目にあわなければならないのだろう……
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