King gainer
□クリスマスなんか大嫌い!…なんちゃって
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目覚めると枕元に出したはずのない靴下が片方だけ置いてあった
「………?」
はじめはアデット先生かと思ったが違うだろう
第一やる理由がない。着るんだったら両足出すだろうし
とりあえず仕舞おうと手にとってみると……爪先の方に薄くて固い感触に行き当たる
何だろうと思い手を突っ込んでみるとそれは鍵だった。一般的な家屋の鍵……だと思う
キーホルダーを通す穴にご丁寧に赤いリボンで蝶々結びしてあるそれにうずうずと沸き上がる嫌な予感
根拠はなくとも僕の経験と勘が告げている
これはあいつの仕業だと
僕は急いで着替えを済ませてガウリ隊のジャケットを着込んでさっきの鍵をポケットに捩込むと外へ出た
クリスマスだってんで折角休みにしてもらって遅くまでゲームして寝て…それなのになんでわざわざこんなことをしているのだろう
本当だったらこんな鍵今すぐ窓から投げ捨てて知らん顔してやりたいのにそれが出来ない
今だってこうして休み返上してこうしてバッハクロンへと向かっている自分がいて、なんだかあーあって気になる
「あーあ……」
街はすっかりクリスマスムード
手作りの飾りとかいつもと違う食べ物が屋台に並んだりしていつもより格段に賑やかだ
緑と赤と金のコントラストを眺めながら歩いているうちにいつの間にか目的地へとたどり着いてしまう
手近なところでコナに奴の居場所を聞けば仮眠室だよと返ってくる
あんた休みじゃなかった?という聞いてほしくない問い掛けを無視して僕は仮眠室へと走った