King gainer

□愛したい+愛されたい=……?
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愛したい?
愛されたい?




「そりゃ……愛されたいですよ」

ある日唐突にそう問われてゲイナーはぽつりと答えた


「お子様だな」


そんな彼の出した答えに間髪入れずにそう返してゲインは笑った

「っ…自分で聞いたくせに!」

打ち返されたあんまりな言葉に今しがた眠ろうとしていたベッドの中で彼に背を向けていたゲイナーはがばりと起き上がって彼を睨みつけた

しかし彼のそんな反応も想定済みだったのか、漸く向き合えたとばかりにその体勢のまま再びベッドに引きずりこまれ、ゲイナーは彼の腕の中にすっぽりと収まってしまう

「ちょっ…やだ……」

「俺は愛されるよりも愛したい方だな」

「あんたの意見なんか聞いてませんよっ」

「俺ばかり聞いていたら不公平だろう?それに知りたいんじゃないかと思ってな」

興味ない!と喚いてみせてもゲインはまるで気にかけていないのかよしよしと飼い猫にでもするように髪を撫でてくる
まるきり子供扱いだ、気に食わない

腕の中でゲイナーがふて腐れたように呟いた


「どうせあんたにはわかりませんよ、僕の気持ちなんか」




両親が死んでからゲイナーはずっと独りぼっちだった

両親に愛されていなかったと言えば嘘になるけれど、そのあたたかくて優しい記憶は血生臭さと硝煙の臭いに塗り潰されて思い出すことは叶わなかった

部屋にいると独りぼっちであることを否応なしに思い知らされるからゲームはいつも繋ぎっぱなしだった

ゲームの向こう側にはいつも誰かがいてくれたから

ゲームをしている時、誰かと戦っている時、その間だけは自分は一人ではないのだと思うことが出来たから
元々好きだったことも手伝ってゲイナーは瞬く間にゲームにのめり込んでいった。それこそキングに上り詰めるまで


その孤独の記憶があるからこそ思う

愛されたいと

自分の一方通行ではいつか消えてしまいそうな気がしたから

愛されることで繋がっていたいのだ
ずっと傍にいてほしいのだ


「追われるのに慣れてる貴方にはわかりっこないですよ……」

「確かに、俺は御婦人には不自由したことがないな。女性からもシベ鉄からも追われっぱなしで勘弁してほしい位だ」

「…それ、ギャグですか」

「お、外したか?」

「ギャグにしても寒すぎますよ」

「じゃあ暖めてやらなきゃな」

「発想が爺くさいですよもう!」

背に回した腕の強さを感じながらゲイナーは軽くゲインの鳩尾に拳をたたき付けた






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