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□被害者は私
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私が一体、何をしたというのか。
他人に特に関心も無く、今まで1人で生きてきた私が、何の関わりも無いこいつらに何かしただろうか。
そりゃあ、謙也と話したりはするけど、ただそれだけで、私が責められる理由にはならない。
本当に、私が何をしたっていうの。


―ああ、状況を説明するのを忘れていた。
私は今、面識の無い女子3人組に呼び出されて校舎裏にいる。
そして何故か、謙也との仲について問われ、責められている。
謙也はただの友達でしかないのに。



「だからさぁ…あんた、謙也とどういう関係?」


「いや、だから、ただの友達だって…」


「嘘つくんやない!やって、謙也とあんな親しそうに話してるのなんて、あんたぐらいや!!」


「いや、だから、気のせい…」


「あれか?あんたも謙也を狙ってるんか!?」


「何でそうなる!?」


「やっぱり、そうなんか!」


「いや、違うけど…」


「謙也はなぁ!ヘタレやけど、結構モテるんやで!!」


「知らないからああああああ!!しかも、さりげなくヘタレって言ったよね!?」


「本当のことを言ったまでや!」


「それ、何気にひどくない!?」



ああ…話がどんどんズレていく…。
これはもう、駄目だな。
話を聞いてくれる気がしない。
一体、どうすれば…。



「あんた…目障りなん!」



ちょっと待って!
カッターって何、カッターって!?
何で謙也のことだけでカッターが出てくるの!?
これはさすがにまずいんじゃ―。



「お前ら!俺の悠に何しとんねん!!」


「謙也!?」


「悠!助けにきたで!!」


「は!?何なの、あんた!別に助けてなんて頼んでないし!!」


「俺が助けたいから来たんや!」


「何で場所わかった!?」


「お前がいるところぐらい、すぐにわかるわ!」


「意味わかんない!しかもさっき、さらっと恥ずかしいこと言ったよね!?」


「やって、本当のことやろ?」


「「「ええええええええ!!」」」



うわあ…もう、何これ。
どんどん誤解が生まれていく…。
もう手の付けようが無い…。



「じゃあ謙也は朝比奈と付き合っとるん!?」


「もちろんや!」


「違うからあああああああああ!!」



あ、もう駄目だ。
収拾つかない。


諦めた私は、全速力でその場から逃げ出したのだった。




被害者は私

(これを期に、俺と付き合わへん?)
(だが、断る)


End.


→後書き


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