Short

□鬼ごっこ
1ページ/2ページ



「なぁ、鬼ごっこせえへん?」



それは、突然の申し出から始まった。


この歳になって、鬼ごっこなんてやるか?ふつー。
まったく…謙也もまだまだ子供だな!


でも、やるからには負けられない。
謙也ほどでは無いが、足には少し自信がある。



「鬼はじゃんけんで決めるでー!じゃーんけーん…」


「「ぽいっ」」



―勝った。
いや、だから何なのって話だけど。



「俺が鬼やな!よっしゃ、絶対捕まえてやる!!」


「…何でそんなに気合い入ってんの」


「やって、お前と鬼ごっこするのひさしぶりやん!」


「…そうだね」



そんなに鬼ごっこが好きだったか?
まぁ、昔はよくやってたけど。
謙也のせいで負けた思い出しか無いけどね!



「ほな、10秒数えたらスタートするわ!10…9…」



あー、鬼ごっこのルールが思い出せない。
とにかく、逃げればいいのか?



「…2…1…いくでー!」



そんなに気合い入れて追いかけてこないでえええええええ!!
謙也から逃げ切れる訳無いじゃん!!



「浪速のスピードスターがおるっちゅー話しや!」


「やめてえええええええ!!」



ちょ、速すぎ!ありえないって!!
謙也から逃げ切れる人いたら、すごいと思う。


うわ、どんどん近付いて…。



「うえ!?」



思わず変な声を出してしまった。
だって、謙也が抱きついてくるから!



「捕まえたで!」


「ちょ、何!?鬼ごっこってタッチするだけじゃ…!」


「これが、俺の鬼ごっこのルールや!」


「ちょっと待ってよ!そんなの聞いてない…!!」


「今、決めたからなぁ」


「待てえええええええ!!」



うあ、ツッコミすぎて、喉痛い…。



「…で?いつ話してくれんの?」


「一生離さへん」


「え!?それってつまり…」


「おん。悠は一生、俺のもんや!」



えっと…これは喜んでいいのかな?
喜んでいいんだよね、うん。
私も謙也のこと、好きだったし。


私は謙也に抱きつき返した。



「おわ…っ!」


「だったら…私も一生離さないから!」




鬼ごっこ

(捕まったのは一体、どっちなのか)
(どっちでもいいか、)
(幸せならば―)


End.


→後書き


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ