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□愛と憎しみ
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「ねぇ、悠。あんたの彼氏…」


「…うん、知ってる」



どうやら、謙也は私に秘密で浮気しているらしい。
本人はバレてないと思ってるみたいだけど、余裕でバレてるから。



「…悔しいな」



一言呟いて、学校を後にした。



次の日。



「悠…!あんた、その髪どないしたん!?」


「悔しかったから、切った」



駆け寄ってくる友達の目に映るのは、長かった髪をばっさり切った私の姿。



「何もそこまで…。あんたの長い髪、謙也が大好きやったやん!」


「そんなの…知らない」



本当は私だって切りたくなかった。
でも、切らずにはいられなかった。
何より…悔しかったから。



「…行こう」



戸惑う友達の手を引いて、私たちは教室へと向かった。



教室でも、やはり騒がれた。
でも正直、そんなのどうでもよかった。


それより、早く謙也に見せてやりたかった。
あんたのせいで髪を切ったんだって。
浮気したことを反省してほしくて。



休み時間、私は謙也のいる3年2組へと急いだ。




「…謙也」


「悠!お前、その髪どないしたん!?」



これで反省してくれるかな。
なんて思ってたのに。



「めっちゃ似合っとるやん!前の髪型も好きやったけど、その髪型も好きやで!!」



―何、それ。
そんなの、反則じゃん。



「…バカ」



精一杯の愛と憎しみを込めて、小さくそう呟いた。




愛と憎しみ

(愛と憎しみは表裏一体)
(愛は簡単なことで憎しみへと変わり、)
(憎しみは些細なことで愛へと変わる)


End.


→後書き


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