こころと言う信念で歩むRPGだったりする。side:???

□黒髪黄色アホ毛の独白だったりする。
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ここの増霊極(ブースター)研究所では、孤児を買い取り、実験をしている。

もちろん、非人道的な実験はしていない。

アースト…ガイアス陛下が国を治めてからは。


増霊極(ブースター)の研究はもともと私たちが始めたものではなかった。

国を統一するにあたって反抗していた部族を潰したとき、研究所と共に引き継いだ研究だ。

いや、その研究ももともと増霊極(ブースター)の研究ではなかった。



人 為 的 に 人 は ど こ ま で い じ れ る か 



その研究はそれだった。

研究とは名ばかりの、非道な、拷問とも言えるような実験が数々行われていたようだ。


私たちは被害者である、実験体の人々を救うため、様々な治療を行った

精神的な傷が深い者

肉体的な傷が深い者

無理な実験で体が壊れてしまった者


他にも様々な者がいたが、皆弱って死んで逝ってしまった。

皆、何故生かしたと言いながら。


ついに残りは一人の少女だけになってしまった。

実験体007号


と、言ってもその少女は特例だった。

ある意味彼女が一番重症だったと言ってもいいだろう。

・・・・
20年前、彼女は頭にあるゲートを弄られる実験をされたのだ。

そして、そのまま目が覚めていない。

点滴などで栄養を送り何とか命を繋いでいる状態だ。

皮肉にも彼女のおかげで増霊極の研究は飛躍的に進歩している。

彼女だけ、もう彼女だけになってしまったのだ。

目が覚めないほうが彼女にとって幸せであることは目に見えている。

起きた彼女は精神がどうかしてしまっているかもしれない

時の流れに絶望するかもしれない。

それでも、目が覚めて欲しいと願った。

これはきっと同情からくる、私の自分勝手なエゴなんだろう。

ある日の事だ、彼女の目が覚めたのは。


私が彼女の経過を見に行こうとした時、彼女がよろけながら走っていたのだ。

その後ろを研究員が追っている。

きっと、目が覚めた彼女が逃げ出そうとしたのだ。

当たり前と言えば当たり前だ。

彼女を捕まえて誤解を解かねばならない。
捕獲に加勢しようとした時。

『ァ…!!』

その時、がけから彼女が落ちたのだ。

彼女も驚いた様子だったことから彼女にも予想外だったのだろう。

焦っているなか頭のはじで精神を病んでる心配はなさそうだと考えながら落ちた彼女に手をのばし彼女の腕を掴む。

『エエェェエエ!!』

「大丈夫かっ!!」

『チョ、バテッイナンカワ カノンテッイニナ ラカダ!!ゥゥスマアザゴウトガリア カテッ!ェェェネ イサダク デイナサナハ ェテ ラカスマミノタ!!』

「!!(トモノヒ語…!![ちょっと わからない、って だから。ありがとうございます、って ね ください、はなさないで て たのみ ますから]…か?かじった程度だからわからん…)」


彼女が目覚め、新たにわかったことは彼女がトモノヒ族であることだった。

残っていた資料には彼女の身元が一切載っていなかった。

載っていた彼女の名称でさえ実験体007号だった。

他にはどんな実験をしたかの履歴のみ。

それすら抜け落ちているところがある。

しかし、彼女がトモノヒ族なら、黒髪黒茶色の色合いを持つはずだ。

彼女の色合いは白髪金目。

だが、彼女がトモノヒ族でないならトモノヒ語を操れるはずがない。

トモノヒ語は頭か賢いとされるトモノヒ族だからこそ自在に操れる言語だ。

実際的、私も習得しようとしたが、かじった程度で終わってしまった。

彼女はなんとか私たちが敵ではないと理解してくれたのかおとなしくなった。

言語が通じないのにここまで意思疎通できるとは、トモノヒの頭はあなどれない。

彼女ひとまず休ませようと思い、手を引いて案内しようとしたがよろけて危なっかしいのでかついだ。

軽い。だか、助けることのできた生命だ。
ある意味重く感じた。

そののち、エリーゼを呼び増霊極を使ってリンクの力を強め、同機し、意思疎通のできる増霊極回線を繋いだ。

増霊極のプロトタイプでもある彼女相手だから使える方法だ。

言語が通じるようになってからは驚きの連続だった。

彼女に名前を聞いたらナナ、とこう答えた。

ナナとは実験体007号のことだろう。

それを名前としていることになんとも言えない感情がわきあがるが、きっとこれ以外に彼女の名前はないのだろう。
そう、納得した。

次に彼女にいままでのことを聞いたらよくわからないと答えた。

全てを忘れている訳ではないが、記憶に抜け落ちている部分があると。

何故、今ここに自分がいるのかがわからないと。

つまりは彼女がこんなにも心身ともに健康なのはここでの悲惨な記憶が無いからだ。

もう彼女だけなのだ、残念ながら記憶を思い出してもらうわけにはいかない。

そして、三つ目に彼女が、寸分の狂いもなくまるでトモノヒ族の鏡のような人間だったことだ。

トモノヒ族と言うのは小さな島国に住んでいる民族で、海の潮の流れの影響で30年ほど前にようやく発見された民族だ。

トモノヒ族がトモノヒ語という独自の言語を話すのはこれに由来する。

そして言語と同じように独自の文化があった。
高度な精霊術の、そしてそれを扱える程の霊視野と頭脳を。

その、精霊術と頭脳を恐れた他の民族に滅ぼされたもう絶滅した民族なのだ。

しかしながら高度な精霊術や頭脳を持ちながら滅ぼされたのはなぜなのか。

それは簡単だ。

それは戦いに使うものではなかったからだ。

トモノヒの精霊術は音楽や踊り、芸などに秀でたもので、
もしくは自分たちの生活を楽にするもので、
霊視野はその術を使い、楽しみ、喜ぶためのもので、
頭脳は皆でする遊びや相手を笑顔にする方法を考えるためのものだったのだ。

とことん平和で、争いがなかったのだ。

争いの仕方がなかったのだ。

そのためトモノヒ族は底抜けに明るく、相手を笑わせ自分も相手も笑い歌い踊り楽しむ、快楽民族なのだ。

現に彼女は人見知りで、引っ込み事案なエリーゼをいともたやすく笑顔にした。

きっと彼女があの研究所のなか、実験により眠らなければ、きっと…

いや、期待のし過ぎか。

黒髪黄色アホ毛の独白だったりする。


***
補足みたいなもの。
ウィンガルさんやガイアス陛下は研究所でひどい目にあってたひとをたすけたかったけど出来なかった。
弱き者を守るのが強き者の義務なのにそれができなかった。
それに対して悔しく思っていて
ナナを気にかけるのは一種の罪滅ぼし…みたいなかんじです。

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