だったり

□バーミア渓谷と雨だったりする。
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アルヴィンにジャーマンスープレックスこと桜影をくらわした後、衛兵が来てローエンが来てなにやら話をしている。

ストーリーから考えると、おそらく今からクレインさんを助けに行くのだろう多分。

エリーゼから「クレインさん達を助けに行きましょうお姉ちゃん!」と言われ、笑顔で頷き、みんなについていく。
そしてクラマ街道を難なくぬけるも、問題のバーミア渓谷にたどり着いた。

精霊帯だったか境界帯だったかのことをジュードに聞くエリーゼを見ながらここのややこしいマップを思い出す。このマップ上下があるからなー…
相変わらずジュードくんとエリーゼの組み合わせはかわいいな、ちょっと抱っこしてくれないかな。

そうしていると突如ミラの叫び声が聞こえ(多分敵だって言った?)、アルヴィンに服のリボン結びにしている首元のひもを引っ張られる。

『ぐえっ!』

「ー、ナナ嬢ーー⁉︎(おい、ナナ嬢大丈夫か⁉︎)」

『痛い痛い苦しい‼︎』

「ー、ナナー無事ーなによりー。(ふむ、ナナも無事でなによりだ。)」

「ーーーーー。(しかしこいつはとんだ土砂降りだな。)」

岩の影で固まりながら敵の矢をしのぐ。
ようやくアルヴィンが庇ってくれたことに気づき、軽くありがとうと言う。
そしてそのまま作戦会議だ。みんなが言っていることは相変わらずさっぱり理解できないがとりあえず不安がるエリーゼの頭を軽く撫でておく。
会議が終わったのか、ジュードくんがこっちを見てくる。

「ナナ、ーー、ーライフ・マテリアー雨ー降らせてーー。ーーー、ー広範囲ー。(ナナ、頼みがあるんだ、今からライフ・マテリアで雨を降らせてくれないかな。回復のことは考えないでいいから、とにかく広範囲に。)」

えっと、ライフ・マテリアでできるだけ広範囲に雨を降らせて欲しいってことだよね?
なるほど、これからジュードくんの名シーン、PVでも有名だった紙一重で矢を避けるシーンだもんね。ジュードヤくんとかいうあだ名がついた原因の。ゲーム本編ではちゃんと驚き顔だったけど。
確かに雨が降ってたら敵も狙いにくいだろう。
まあ、ライフ・マテリアは狐の嫁入りみたいなもので、空は晴れたまま明るいから、どれだけ効果が出るかわかんないけど。

後、広範囲か…戦闘中はマナを多分若干セーブして術を使ってる?(よくわかんないけど、全力で術を使うと立ちくらみするから、立ちくらみが俗に言うTP切れなんだと思ってる。)んだけど、マナ思いっきり使うといけるのかな?

『えーっと、“広い、わからない ケド、やってみる ね!がんばる ね!”』

「ありがとうナナ(ありがとうナナ)」

「ねぇねーがんばってー!!」

「で、ですです!」

『まっかせてエリーゼ!全力で頑張るから‼︎』

そう言ってがんばるアピールで力こぶをつくる。

「ー、ーー、ナナ嬢ー全力ーーいいぞ。ほどほどー。……ーーー…(お、おいおい、ナナ嬢あんま全力でやんなくてもいいぞ。ほどほどにな。……増霊極とか暴走させんなよまじで…)」

アルヴィンがどことなく疲れた様子で言う、なんか最後らへんボソボソ言いすぎて聞き取るどころか聞こえなかったけど。

研究所にいた頃に読んだクソみたいな精霊術の使い方の本を思い出す。なんだかんだで多少は使えるアドバイスややってはいけないことも載っていたのだ。

術を成功させるには詠唱を長めにすること、詠唱を長くすることによって、本来なら現時点でできない精霊術も使うことができる。
まぁ、詠唱長くなる分戦闘中はまず使えないんだけど。
次に詠唱の内容を具体的かつ限定的にすること。これによって制度がかなり上がる。
ハン○ーハンターの念能力やFa○eの令呪みたいなもんだと私は認識している。
あとできるだけカッコよく、もしくは面白く。精霊が耳を傾けて、力を貸そうと思えるような詠唱が理想だそうだ。

私はジュードくんと目を合わせて一度頷き、それを合図に詠唱を始める。エリーゼが小さくよこで「がんばってください…!」と私の服の裾を握った。

『風よやめ、この荒れた境界に降りそそげ生命の雨、広く長く大地を潤せ、永遠に!我は緑の再生を望む!雨よ降れ!大空に虹を‼︎ライフ・マテリア!』

あ、やべ最後虹とか言っちゃった、虹とか雨止んじゃうじゃんどうしよ。
私が最後にまずいと思ったのをよそに雨はキラキラザーザーと降り出した。
雨が降ると同時にジュードくんが飛び出す。

「おーおー…ーーーーー…ーーー?ーーーー?ー。(おーおー…しっかり回復の効果までつけちゃって…ってか全域?この渓谷全域に降ってるくね?雨。)」

アルヴィンが何か言ってるが、聞き取る気力もないぐらいだるい。風邪のひきはじめみたいに頭が痛い。個人的に風邪はあんま引かないから、辛い病気は風邪より腹痛派だけど、まじで頭痛いわ、頭痛薬飲みたいぐらい、ないけど。

私が座り込んでいる間になんとか敵を倒したらしく。先に進むと声をかけられる。
あれ⁉︎ってことは私ジュードくんの名シーン見逃した⁉︎嘘‼︎
若干ショックを受けながら慌てて立ち上がれば立ちくらみがして思わず座り込む。ゆっくり立てば良かった。いや、ゆっくり立っても立てば立ちくらみするわなこれ。

「? ーーーー?(? ナナ嬢どうした?)」

アルヴィンの声だ。聞き取る余裕ないからなんて言ってるかわかんないけど。
えっと立ちくらみってなんて言うんだろ?

『エリーゼ、ちょっと立ちくらみって言って。』

「は、はい!」

「ねぇねーちょっと立ちくらみだってー‼︎」

「ー?ーー?ーーー?ー?(はぁ?立ちくらみ?ナナ嬢が?なんで?)」

「ー、ーー、ーーー、ーー?(あ、そっか、ごめんナナ、大丈夫?)」

「ー、ーー、ーーーー。ーーーー。(あぁ、確かに、ナナといえどこんな全域に雨を降らせれば負荷もかかるだろうな。ウンディーネがいなければ私にすらできない。)」

「……ーー、ーーーーーーー。(……なるほどな、ナナ嬢は化け物だが思ってたよりは化け物じゃないってわけだ。)」

「ーーー?ーーー?(アルヴィン?何か言った?)」

「ーー、ーー。ーーーーーー。(いーや、なんも。ナナ嬢は俺がおぶってってやるよ。)」

座り込んでいればしゃがんだアルヴィンに背中を向けられて軽く声をかけられる。
おんぶってことでいいんだよね?アルヴィンに軽くありがとうと言い、おぶってもらう。

おぶられて私がぐったりしてる間にも話は進む。
アルヴィンの背中でおとなしくしていると唐突に声をかけられる。

「問題ー?うちー優秀ーーー。ー、ナナ嬢?(問題無くね?うちには超優秀なガイドさんが居るし。な、ナナ嬢?)」

?、なんだなんだ?

「ナナ嬢、樹海みたいー道わかるー?ーーー方向指示してーーー。(ナナ嬢、樹海みたいに道わかるだろ?俺の背中から方向指示してくれりゃあいいから。)」

あぁ、上から入るのに道案内ってことか。
さっき思い出してたし多分いけるだろう。

『“りょぅ、わかっター”』

“了解、わかった”とアルヴィンに返せばローエンがほう、と感嘆の声を上げる。

「トモノヒ族ーーーーできるー。(トモノヒ族というのはそんなことまでできるのですか。)」

「トモノヒ族ーーー、ナナーできる。樹海ー見事ー案内ーー。(トモノヒ族だからかはわからないが、ナナはできる。樹海でも見事に案内をしてくれた。)」

「ー、ーー…ジュードーできないーーー?(ほう、なるほど…ジュードさんはできないのですか?)」

「えっ?僕?僕はできないーー…(えっ?僕?僕はできないけど…)」

そんな会話をBGMに渓谷の上部を目指した。



バーミア渓谷と雨だったりする。

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