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“1”の後。白夜王国側


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「全く、なんなんだあの人形姫‼︎」

せっかくこっちがわざわざ兄さんの言うこと聞いて武器を下ろしてたっていうのに!いきなり怒って攻撃してくるとか‼︎
苛立ちのままにぶつくさとタクミは文句を垂れる。

そんなタクミをフェリシアはぎゅーっと眉を寄せてむっと睨みつけている。フェリシアにしてはだいぶ珍しい。

「あったりまえじゃないですか!ナナ様から見れば大好きなお兄さんを取った相手に人形姫だなんて口汚く罵られたら怒るに決まってます!いくらなんでも人形姫だなんて‼︎言っていいことと悪いことがあります‼︎」

「…え?」

怒涛の剣幕でタクミに抗議するフェリシアと、フェリシアの言った内容にタクミがたじろぐ。

「あのー、フェリシア?僕、人形姫って知らないんだけど、人形姫って何?」

「あぁ、カムイ様は知りませんよね。ナナ様が昔、ナナ様のお母様の、妾の操り人形だったことを揶揄する蔑称です。当時のナナ様はナナ様のお母様が政治で上手く立ち回るために男装を強要されていて、ナナ様自身、お母様の言う通りに立ち回ってらっしゃいましたから。」

そのお母様が亡くなり、姫であったことが明かされ、ナナ様がある程度自由に動けるようになった後、貴族たちがナナ様を利用しようと近づいたんです。
でも、その頃すでにナナ様は頭角を現していて、貴族たちのいいなりにはならなかったんです。
それで負け惜しみで貴族たちが、少し前まで母親の操り人形だったくせにって、人形姫って呼び始めたんです。

「他にも冷血だとか、冷酷だとか、お飾りだとか、血が通ってないだとか、人の心がないだとか…とにかく、悪い意味しかない呼び名なんです‼︎」

「ひどい…僕、ナナがそんな呼ばれ方されてたなんて少しも知らなかった…」

フェリシアから聞かされた真実に顔を暗くして目を伏せるカムイ。
一方、タクミも気まずそうに目をそらし、若干焦ったように弁明する。

「え、いや、そんな…僕はてっきり人形みたいに綺麗だから…って違う!だ、だいたいみんな言ってるし‼︎というかあれじゃない?どこの国で闇夜の第二王女の通り名聞いても絶対人形姫って返ってくるだろうし!闇夜国内と国外で絶対意味合い違うでしょこれ!」

「え、えと、た、タクミ兄様の言うとおりだと思います。私もてっきり、人形姫は“人形みたいに綺麗”とか、そうじゃなきゃ“すごく綺麗だけど、無表情で人形みたい”とか“完璧すぎて人間味がない”って意味だって思ってました…」

「サクラ!僕は綺麗とか言ってないから!」

「は、はい…」

「ええぇ…そ、そうなんですかぁ?」

タクミの言葉とサクラの言葉に驚いたようにフェリシアが目を丸くする。

「うーん、でも、僕からすると、そっちの意味でも人形姫って納得いかないなぁ。だって、ナナ全然無表情じゃないし。」

怒るときは怒るし、泣くときは泣くし、笑うときは笑うよ。

「戸惑ったり、焦ってたり、困ってる時が多いような気はするけど。それに、すっごく賢いけど、たまにすっごく馬鹿だし。」

それはさっきの“剣は爆発しない”発言でわかったと思うけど。
…うん、確かに普通は剣爆発しないけど、しないけど!

「だから、人間味がないっていうのもわからないなぁ。」

「実は、ナナ様があんなに表情豊かなのは基本的には身内や信頼してる人の前だけなんですよ。」

「え、そうなの?」

「…中立国とかの式典で人形ひ…闇夜第二王女とはよく会うけど、いつも無表情でツンとすましてるよ。…少しぐらい笑えば愛想があるのに。」

「し、知らなかった…」

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