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□カムイがサーヴァントだったら
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カムイちゃんinEXTRA


***

ーーーあきらめない。

あきらめたくない。

なぜなら俺は、まだ、自分の手で戦ってすらいないのだからーーー‼︎

パリン、と、ガラスの割れる音がする。

「あきらめない、その選択は素晴らしいと思います。」


透き通った、まっすぐな、はっきりと届く、声。


「選定の声に応じて参上しました、私はセイバーと言います。あなたが私のマスターでよろしいでしょうか?」

目の前に立つ、黒い鎧を纏う少女が問う。

状況は何一つ、わからないままだ。

だが、きっと俺の目の前のこの少女が現状を破壊するための唯一の手段だ。

はい、と俺は力強くうなずいた。

「はい、わかりました。では、私はこの剣に誓って、あなたの選択を助ける力になります!」


******



「記憶喪失…ですか?」


なんとかあの窮地を乗り越え、目を覚ませば保健室だった。
そこで桜から説明を受け、自身が記憶喪失であることが発覚した。

すまない、セイバー、せっかく助けてくれたのに、こんな頼りないマスターで…

「えっ、いえ、気にしないでください。私はなんとも思っていません。むしろ、記憶については私も結構忘れっぽいので…」

でも、記憶喪失のマスターなんて頼りないだろう?

「いいえ、私はあの時のあなたを見て、あなたの選択、未来を助けたいと思いました。なので、私にとって、あなたの過去は重要なことではありません。たしかに、記憶はあるに越したことはないでしょうが…大事なのはこれからなのではないかと、私は思います。」

けれど…と心配そうな顔でセイバーは続ける。

「記憶もなく、選択の自由もなく、いきなりこんな殺し合いの最中に放り出されるなんて…私はあの時、あなたのあのあきらめたくないという声をきき、あなたの選択を助ける力になりたいと思いました。なのに、あなたに戦わないという選択肢すら、私は用意することができません…すみません…」

セイバー…心配してくれているのか。

「えっ、はい、当たり前じゃないですか、心配ぐらいします!」

その“当たり前”のことが、俺はすごいと思う。
出会ったばかりの相手を、心の底から心配するっていうのは、多分、おそらくだけど、なかなかできることじゃない。

ありがとう、セイバー、心配してくれて。セイバーは優しいな。

「なっ……」

セイバー?

「い、いえ、何かこう、少し驚いてしまいました。ありがとうございます、マスター。…と、名前は確か、ハクノさん、でしたよね。マスター、良ければハクノさんとお呼びしてもいいでしょうか?」

ああ、好きに呼んでくれ、セイバー。
しかし、こうほんわかしてるってことは、セイバーは聖女系の英霊なのか?

「聖女⁉︎いえ、まさかそんな!聖女ならまだアクアさんの方が………いえ、違いました。アクアさんも聖女とはほど遠かったです。」

アクア?

「ええっと…最前線で槍を振り回してバッサバッサと敵をなぎ倒していく歌姫…です。」

……それは、ちょっと聖女じゃないな。

「で、でも、見た目はすごく聖女のようで…‼︎
…あ、マスター、私の真名のことなのですが、その、できるだけ隠しておきたいのですが、いいでしょうか?」

かまわないが…どうしてだ?

「えっと、実は私は、あからさまに弱点がある英霊で…なので、少しでも危険を減らすために…」

なるほど、わかった。
たしかに、俺が敵に読心術的なものをされて真名がバレても困る。

「すみません…」

いや、気にしないでくれ。セイバーは俺を心配していってくれてるんだろう?

ああ、そうだ、最後になったが、これからよろしく、セイバー。

「! はい、よろしくお願いします、ハクノさん。」


******

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