D灰
□もしも君が…. 連載中
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いつも通りにフラフラと教団本部を彷徨って帰ってきてみれば、班員達から殺意の籠もった視線を向けられた。
「室長。どこ行ってたんですか…」
げっそりとやつれたリーバー班長が、恨めしそうに見上げてくる。
別に、長い時間留守にしていたわけじゃない。
ただ、寂しくなっただけだ。
今は極東にいる恋人に会いたくて、しょうがない。
会いたいなぁ、なんてツラツラと考えていたら、本部に来た時に必ずいる書庫に足が向いただけだ。
「何か、あったのかい?」
そう問いかけると、苦虫を噛み潰したような顔でリーバー君が唸った。
「いや、なんかよくわからない信号がずっと届き続けてるんすよね。流石に難しすぎて、俺たちじゃわからなくってですね…」
「…どれどれ、っと」
複雑な数字だけが並ぶ信号が目に入った時、否応なしに背筋が冷えた。
─── バクちゃん、キミは今、
どこにいるんだい…?
連なる数字から導かれた言葉は、
─── アジア支部、壊滅。