▲ずっといつまでも▲
□君と笑顔
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「クダリ、さん? 」
僕が来たのに気付いたみたいで、僕をじっと見つめてくるハル
「おはよー、どう?調子は」
僕の問いかけに、ハルは戸惑いを見せた
「あ……クダリ、さん、その… 」
…そりゃ、そうだよね
昨日、あのまま、何も言わずに帰ってしまったのだから
別に嫌ったわけでもないし、軽蔑したわけでもない
じゃあ何故、僕はあの場を去った?
違う
正確に言うと、逃げたんだ
僕自身が、戸惑ってしまったから…
さて、またハルに会いに来たのはいい
なんて言い訳にしようか
そう考えてるうちに、ハルから口を開いた
「ごめんなさい…
昨日のこと …変ですよね、
嫌な子ですよね、
ごめんなさい…
だから、だから…… 」
ハルは今にも泣き出しそうだった
…こんな表情に慣れてないのかな
凄く変な顔だった
「プッ……あははっ! 」
「な、なんで笑うんですか!!」
怒った表情で僕を睨むハル
「それ、怒ってるの? 」
「怒ってる…怒ってますよ!し、真剣に、誤ってるのに! 」
お腹を抱えてる僕に、必死に怒るハル
でも
「僕には可愛く見えるんだけど? 」
そう言った瞬間、ピタッと動きが止まり、みるみる赤くなっていくハル
「か…っ、か…… 」
口をパクパクさせて動揺している
「か…? 」
「か、可愛くなんて、ありませんっ!」
耳まで赤くして、そっぽを向くハル
「そ、それよりも……私、私っ、昨日クダリさんが帰ってから… 」
よっぽど 思い詰めていたのか、また泣きそうになる
「ごめん…、僕が悪い 」
「え… 」
再び僕を見つめる彼女
ちゃんと、謝らなきゃ
「…僕、戸惑っちゃったんだ
自分が、そうだったから 」
「…どういう、ことですか? 」
決めたんだ
ちゃんと話すって
だからココに来たんだ
「僕も、負けたことない 」
ハルは大きく目を見開いた
「う、うそ…… 」
「本当に、だよ
だから、嬉しかったんだ、僕も 」
「……」
「つまり、ハルと同じ!僕はハルのこと、嫌な子とか、変だって思ったことない! 」
「…わ、私、私ね… 」
「うん 」
「昨日、本当に不安でした……
嫌な子って思われたのかなって…
どうしようって、ずっと悩んでて… 」
「…それは、どうして? 」
「えっ? 」
「なんで、悩んでたの? 」
「………」
ハルはうつむいた
そして、か顔を上げて、決意したように僕を見つめた
「クダリさんと、また戦いたいからです 」
おんなじだ
この子は、僕と同じかもしれない
「僕も…そう思ってた 」
彼女はびっくりしたように、「えっ 」と声を上げた
「本当だよ 」
僕はニッコリ笑った
「じ、じゃあ、あの、ひとつ…
いえ、ふたつ、聞いていいですか? 」
「いいよ、なに?」
「私とのバトル、楽しかったですか? 」
「うん、とても!今までにないぐらい! 」
「こ、これからも、私とバトルしてくれますか?ずっと、ずっと…! 」
「うん、喜んで!約束だよ 」
「…本当に、ですよ 」
ハルは小指を出して来た
その小指に、僕の小指も絡める
『ゆーびきりげんまん、うそついたら、はりせんぼんのーます、ゆびきった!!』
――――――――
「クダリさんっ!!」
帰り道、
後ろから声がした
振り向くと、ハルが微笑んでいた
「クダリさん、また私とバトル、してくださいね? 」
僕も微笑んで答えた
「もちろんだよ! 」
ハルは微笑む
無邪気に笑っていた