幻蝶の錬金術師

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「んなーーーーーーーーーーっ!!」

急にエドとアルの幼なじみさんが叫んだ。

「おぉ、悪ィーぶっ壊れた」

エドはすがすがしい顔で言った。

「ぶっ壊れたってあんたちょっと!
あたしが丹精こめて作った最高級機械鎧をどんな使い方したら壊れるって言うのよ!」

「いや、それがもう粉々のバラバラに」

そして、エドに二回目のスパナが飛んできた。

私は心配することなくぼーっとそのやり取りを見ていた。

「で、何?
アルも壊れちゃってるわけ?
あんたらいったいどんな生活してるのよ」

「いやぁ」

アルも適当にごまかした。

この兄弟は…

「それで?そこのあなたは?」

幼なじみさんが私に急に話を振ってきた。

「え?あぁ、一緒に旅してるななし名無しです。」

「えぇ!?一緒に旅してるの?大丈夫?」

エドをバンっとどけてずいっと近づいた。

「へ?大丈夫ですよ〜。あたし、強いんで」

私はにこっと笑った。

「それ、笑顔で言うもんじゃないわよ…まっ、いいわ。私はウィンリィ。よろしくね」

そして差し出された手。

私はその手を握った。



「―――で、その賢者の石の資料とやらを手に入れるために、一日も早く中央に行きたいって言うのかい?」

「そう。大至急やってほしいんだ」

私はソファの上で体操座りでうずくまってた。

すると…

「あれ?ななしって左足機械鎧なの?」

私はびくっとして顔をバッとあげた。

「え、あぁ。うん…そうなの。」

私は曖昧な返事をした。

するとウィンリィが…

「えぇ!?見して!見して!」

私は困った顔をしたが…

「うん…いーよ」

私はニーハイを脱いだ。

「はぁぁ〜すごいわっ!これ!誰が作ったの!?」

ウィンリーが興奮しながら聞いてきた。

「えっと、住んでいた町のオジサンだよ」

「会いたい!!今度連れてって!ななしの生まれた故郷に!」

「…っ!」

私はくっと苦い顔をしてしまった。

それを見ていたエドが…

「ウ、ウィンリー!いつぐらいで直せる?」

「え?急になによ…んー、削りだしから組み立て、微調整、接続、仕上げと…

うわ、完ぺき徹夜だわ」

「悪いな、無理言って…」

「一日でも早く中央に行きたいんでしょ?
だったら無理してやろうじゃないのさ」

私はその会話を聞いてそして胸が苦しくなった。

ギシッ

私は左足を強く握った。
そして顔を伏せた。

何、この気持ちは…。
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