幻蝶の錬金術師

□X
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「いいかい?いくよ?」


「いち、にぃの…

さんっ!」

「でっ!!」

ひえー…

神経繋ぐ時ってすんごい痛いんだよね…

って私最近全然メンテナンスしてないけど。

「完成!どうだい?」

「うん、いい感じ」

そして、エドはウィンリーの話を聞かずにアルと外に出て行ってしまった。

「まったくあいつはー」

ウィンリーは呆れたように窓を見てた。



「んー…これで全部だなっ」

これからアルを元通りにする作業に入るらしい。

「血文字のようだな」

「血文字だよ、俺の血」

私ははははっと乾いた笑顔で見ていた。

「それにしても危なかったなー」

「もう少し深くえぐられてたら終わってたねー」

え、そんな清々しい顔で言っちゃだめでしょっ!

そしてエドは素早くアルを戻した。

「よしっ!やるかっ」

「え、何を?」

「組み手だよッ!!!!」

そして組み手が始まった。

「ほほう…

ならば我輩も協力しよう!!」

少佐は脱ぎだした。

「えぇ!!ずるーいっ!あたしも!」

「ななしはまだ肩完治してないからだめだよっ」

「ぶーっ!わかったよぉ」

私はその姿をみてほほ笑んだ。

「あぁ、これが幸せって言うんだろうね」



「あーあ、またお腹出して寝てるよ…
しょうがないな…」

エドはソファーの上で寝ていた。

「まるっきりこれの保護者だね、アルは」

「ほんと、ほんと。そして…兄の妹もお世話が掛かるよ…」

地べたに座ってソファーにもたれて寝ている
ななしを見た。

「お前達、いくつになった?」

「僕は14で兄さんとななしは15」

そして、私が寝てる間に私達の話が進んでいった。


「首…イタイ」

私はむすっとしながら首をごきごきしていた。

「そりゃそうだよ…ちゃんとベットで寝ないから」


「世話になったなばっちゃん」

「ああ」

私は深々とお辞儀をした。

「あれ?ウィンリィは?」

「徹夜続きだったから、またぐっすり寝てるよ。

起こして来るかい?」

「あー、いいよいいよ

起きて来たら機械鎧の手入れはちゃんとしろだのあーだこーだうるさいから」

それはエドが悪いんじゃ…。

「じゃあな」

「ああ、気をつけて行っといで」

わたしはほほ笑んでお辞儀をした。

「あぁ、ななし」

突然名前を呼ばれた。

「はい?」

「なにかあったら帰ってきな。待ってるからさ」

私はなにかがこぼれそうだった。

「はいっ!」

その隣でエドが優しい顔で私を見ていた。

「エド!アル!ななし!」

すると、上で眠そうなウィンリーが叫んだ。

「いってらっさい」

「おう!」


私に大切なものが出来た。

お兄ちゃん…。

私は本物のあたたかさに出会えました。
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