幻蝶の錬金術師
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テーブルに広げた大きな地図。
そこに皆の視線が集まっている。
「軍の下にある錬金術研究所は中央市内に現在4か所。そのうちドクター・マルコーが所属していたのは第三研究所。ここが一番あやしいな」
「ん?ここは何?」
私は気になった場所を指で指した。
「以前は第五研究所とよばれていた建物ですが現在は使用されていないただの廃屋です」
「これだ」
「え?」
「となりに刑務所がある」
ピッとエドが指をさした。
「材料調達の場所…だね」
「ああ。表向きには刑務所内の絞首台で死んだ事にしておいて、生きたままこっそり研究所に移動させる。そこで賢者の石の実験に使われる…そうすると刑務所に一番近い施設があやしいって考えられないか?」
私はあぁ!っと言って頷いた。
「この研究機関の責任者は?」
「名目上は鉄血の錬金術師バスク・グラン准将という事になっていたぞ」
「そのグラン准将にカマかけてみるとか…」
「無駄だ。先日スカーに殺害されている」
私はびっくりした。
「嘘…。あの人軍隊格闘の達人だよ…?」
「…。」
「…そっか。殺されちゃったんだ。強い人なのに…」
グラン准将は一回戦ってるとこを見たことがあった。
強くってすごい人だった。
その人までも殺すなんて…
スカーはとんでもない奴だ。
「しかし本当にこの研究にグラン准将以上の軍上層部が関わっているとなるとややこしい事になるのは必至。そちらは我輩が探りを入れて後で報告しよう」
「あぁ」
「それまで少尉と軍曹はこの事は他言無用!ななし名無しとエルリック兄弟は大人しくしているのだぞ!!」
「「ええぇ!?!?」」
アルとエドはすごく嫌がった。
この2人は…
「むう!!さてはおまえ達!!この建物に忍び込んで中を調べようとか思っておったな!?」
少佐の言葉に2人はびくっとした。
「ならんぞ!!元の身体に戻る方法がそこにあるかもしれんとは言え、子供がそのような危険な事をしてはならん!!」
「わ、わかったわかった!!そんなあぶない事しないよ」
「ボク達少佐の報告を大人しく待ちます」
「…少佐。あたしが2人を見てるんで。」
私はニコッとと笑って言った。
少佐達は納得して部屋に戻った。
私は無言でベットに寝転がった。
「ななし…僕たち」
「行くならあたしも連れてってね」
「「え?」」
私はバッと起き上がった。
「行くんでしょ?だからー連れてけっ!」
私は笑顔でロープを出した。
「おっかーね女…」
「いいからいいから!」