幻蝶の錬金術師
□XI
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「はぁー…なんか慌ただしかったねぇ」
私は苦笑いした。
「だなー…」
私はさっき渡された銀時計をぶらーんっと目の前に出した。
けど、私はある異変に気付いた…
「…これ、開いてるじゃない」
私は今まで以上に声を低く言った。
その声にびっくりする2人。
「あの2人…開けたんだ」
――ガっシャーンッ
「「!!??」」
私は銀時計を地面に投げつけた。
「おい!!どうしたんだよ!ななし!!」
「最低っっ!!なんで…なんで開けちゃったのよ…この中は私の思い出と思いが入ってるの!!!私の過去と今の真実なのに…体が戻ったら開けるのに…」
私は泣きながら叫んだ。
周りに人はちょろちょろと居たが周りの視線なんか今はどうでもいい。
今は怒りしかないのだから。
「…落ちつけって。」
「……ごめん。」
私はドスンっと座った。
そして俯いた。
「ごめん…。エド達には関係ないのに変なこと言っちゃってさ…。今のは気にしないで。」
私は俯いたまま言った。
「昔の事は誰も知ってほしくないのに……」
エドは辛そうな顔をしてななしの銀時計を拾った。
そしてエドは見た。
幼いななしと兄…そして父と母。
幸せそうなちっちゃい写真が銀時計からはみ出ていた。
エドは辛い顔をし、ななしを見た。