少女と仲間達。

□ミツバ篇
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次の日、ミツバさんが入院したと聞いた。

病院に行く前に知りたいことがあった。

「退くん。ちょっと」

私はにこっと笑った。

その目は戦う時の目だった。
山崎はぞくっとした。

「な、なにかな?」

「なんであそこにいたわけ?偶然にしちゃよくできてるよね?」

驚くほど低いトーン

「…」

「早く言って。命がかかわってるかもしれないんだよ?」

私は苛々していた。

「実は『転海屋』は闇取引をしている疑惑があって、…裏で大量の武器を売買してるって言う噂があるんだよ。」

私はびっくりした。

「…よりによってミツねぇが絡んでる。だから、土方さんが総悟と私に言わなかったわけね」

「…そうなんだ。ごめんね」

「ううん、私こそ!教えてくれて有難うね!また何かあったら教えて」

私はへらっと笑った。
いつもの琴葉に戻っていた。

「うん。あ、沖田隊長には…」
「大丈夫!内緒、内緒!」

私は人差し指を唇にあてて笑った。

そして退くんとはお別れをして病院にすぐ向かった。

−コンコンッ

「はい」

中から声が聞こえ、私は戸を開けた。

「琴葉ちゃん」
「どう?体調大丈夫?」

私はにこっと笑い花を置いた。

「うん、バッチリよ」

そりゃよかったと私はほほ笑んで言った。

「琴葉ちゃんはそーちゃんの事どう思ってるの?」

急に振られた総悟の話。

「へぇ?…まーいっつも意地悪するし仕事サボるし…けどね、いつもそばにいてくれて何かあったときは護ってくれて、意地悪だけどやっぱり優しい。…昔から大好きなお兄ちゃんみたい、かな?」

私は照れながら笑った。

「そーちゃんも琴葉ちゃんのこと大好きだと思うよ?いつも琴葉ちゃんの話が出てくるのよ?うふふ」

私はびっくりした。

「これからもよろしくね?」

「はいっ」

そしてその後に銀さんも来て私達は笑って話していた。

だが、病状が急に悪化してしまった。
ミツバさんは集中治療室に入った。

私はたたっと階段を上がり廊下を見たら総悟達がいた。

私はなぜかさっと隠れてしまった。

「総悟!いいからお前も休め。昨日から一睡もしてねぇだろ。俺と代われ!俺さっき寝たし。」

「くま」

近藤が沖田に言ったが沖田が近藤の目のしたにくまが出来ていたのを指摘した。

「…メイクだこれは!!」

「ガーゴォ!ガーゴォ…。」
 
後ろから豪快な銀時のいびきが聞こえた。

「いいなぁ、あいつは能天気で。
それで総悟。トシとやりあったんだって?珍しいじゃねぇか、お前が負けるなんて…。」

「…今は野郎の話はやめてくだせぇ。」

沖田は冷たくて冷酷な目をして近藤を見た。

その沖田の目を見てぎゅっと胸が痛くなって同時に切なくなった。

「詳しくは教えてくれなかったが、言ってたぞ。今のお前には負ける気がしねぇってな。」


「やめろって言ってるんでィ!!!」

沖田の大声で病院の廊下に響いた。

「何だってんだぁ。どいつもこいつも二言目にはトシ、トシって。琴葉もどうせ土方さんの処に行ったんだろィ?肝心なヤローはどこに行ったんでィ姉上がこんなときに姿も見せねぇ。
昔振った女がどうなってもいいってか?さすがにもてる男は違いやすねぇ。」

私はぐっと唇をかんだ。

「…総悟。やはりお前少し疲れているみてぇだから寝ろ。」

「…軽蔑しましたかい?」

「寝ろ。」

「…邪魔ですかい?土方さんと琴葉と違って。」

−ガシ

近藤さんが総悟の胸倉を掴んだ。

私はハッと目を大きく開いた。

「局長ォォォ!!!大変なんです。副長が!!」

そこに山崎が来た。
遠くからだったから会話が聞こえないが、多分あの話だろう。

「すみません、副長に口止めされてて。それにもしも沖田隊長の親類縁者に攘夷志士のつながりのあるものができれば沖田隊長の立場を失うと…。」

私と総悟は唖然としていた。

私はバッと廊下に出た。

「近藤さん、私…行ってきます。」

「琴葉ちゃん、いつからそこに…」

私はぐっと拳を握った。

「これ、本当は知ってたんです。退くんに教えてもらって…総悟の立場がなくなることは分かってたの!…だから、私の責任でもあるから土方さんのとこ行って…」

−がしっ

「琴葉も行くんですかィ?」

総悟に腕を掴まれた。

「行くよ」

「なんででィ!!!」

「何でじゃない!!!仲間を助ける理由なんてある!?しっかりしなよ!一番隊隊長でしょ!?…私を助けてくれるヒーローなんでしょ!?ちゃんと立ってよ!!!」

私は泣きながら総悟に言った。

「はじめて総悟を大嫌いになったよ…」

私は泣きながら言った。
そしてバッと走って行った。

「あの野郎、くそ!!琴葉まで!」

総悟は琴葉を追いかけようとしたが…

「待て!総悟、お前はここにいろ。…今のお前じゃ足でまといだ。」

近藤が止めた。


「俺たちを信じろってかィ?冗談じゃねぇ。俺は野郎に貸しを作りたくないんでィ。近藤さん…あんたは俺を誤解してる。

俺はあんたが思うほどきれいじゃねぇ。てめぇのことしか考えてねぇ。いつも…いつもあんた達といても溝を感じてた。俺はあんたらとは違うって。だから姉上もあんたもいつも隣にいた琴葉さえもあいつの所へ…」

−バシィン!!!

近藤が沖田を殴った。

「…いててて。近藤さんは随分俺に手厳しいわ。」

 「当たり前だ。お前がガキだからだ。トシがもしお前と同じことを言ったら俺は殴っていたさ。俺たちはそういう仲だろう?誰かが捻じ曲がったら他の二人でぶっ飛ばす。

だから俺たちは永遠に曲がれねぇ。ずっと真っ直ぐ生きていける。てめぇが言った小さい溝何かしらねぇよ。何度でも飛び越えて何度でもぶん殴ってやる。

…総悟、俺がもし道を間違えたらお前が今度はぶん殴ってくれよ。」

近藤は山崎と一緒に歩いて行った。
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