企画部屋
□ずっと、そばにいます
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PM22:08
うとうとと、黒子は微睡んでいた。
目を閉じては開き、閉じては開き。
ふいに、ヒヤリとした手が額に当てられた。
「…寝みいのか?」
「…う、ん…」
その手から逃れるように身を捩った黒子を青峰が抱き寄せる。
背後から抱き締められた感覚がさらに眠気を誘った。
「…あおみね、くん…」
うっとりとした、幸せそうなその声に、青峰の頬も思わず緩む。
―――…いつからだろう、バスケに対してつまらないと感じるようになったのは。
あの時、勝つことしか知らなかった自分は黒子に助けを求めた。
答えを模索し、見つけ出そうとしていた黒子を、縛り付けた。
自分でも卑怯だと思った。
でも今、己の腕の中にいる黒子に、酷く安堵している。
黒子に歪んだ考え方を教えたのは自分かもしれない。
それがどうした。だからなんだ。
時々、ふとこう思うんだ。
もし、あの時、助けを求めなくて、自分から黒子を切り捨てていたらどうなっていたんだろうって。
たぶん二度と、黒子がこの腕の中に戻ることはないだろうと、そう思うようになった。
―――…考えただけでゾッとする。
ありえない、あってはいけないことだ。
“光”と“影”は共に在らねばいけないのだから。
「テツ…離れんなよ…?」
酷く甘い声で、でもどこか怯えたような声で言う。
「…だいじょうぶ、ですよ…」
相当眠いのかもしれない。
幼子が話すように、たどたどしく黒子は言う。
「ぼくは、ずっときみといます…」
優しく微笑んだ黒子が、酷く愛しかった―――…
END
→あとがき