短編

□キセキdeテスト
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「―――…深刻な問題が発生した」



珍しく神妙な顔をした赤司が言う。

その表情に、いつものメンバーが緊張に身を強張らせる。

赤司はちょっとやそっとのことじゃ動揺もしないし気にもかけない。



学校の会議室、赤司、緑間、黄瀬、紫原、黒子が座って話し合いをしていた。




「…あの、すいません…」

入り口に一番近い位置に座った黒子が静かに手を挙げる。



「なんだい?」

「青峰くんは…?」

「そう、そのバカのことなんだが…」






バカ!?赤司っちが、バカって…ッ!!

うん、なんか赤ちんご立腹?

なにしたんすか青峰っち…ッ!!

あははー。

全ッ然笑えないっスから!





パリパリとお菓子を食べる紫原に小さな声で問いかける黄瀬。

 
紫原はのほほんと笑っており、あまり気にしてなさそうだ。



「そこ!うるさい!」

びしりと、指を刺された黄瀬の背筋か伸びる。


触らぬ神に、ならぬ赤司に、だ。



「…で、青峰がなんだ」

興味が一気になくなった様子の緑間が半眼で赤司に聞く。
緑間の隣に座る黒子も興味が無さそうだ。
むしろミスディレクションで先に帰ってしまおうかとも考えている。



「…来週からなにがあるか皆は知ってるかい?」

「来週…?」

「…あ、テストー」


あぁ、そういえば。

だからバスケ部も部活がないんだった。
 
「そうだ、テストだ」

「だからそれが―――…」





言いかけた緑間が不意に不自然に言葉を途切らせた。

「…青峰くんの成績ですね」

「その通り!」



ダンッと机を拳で叩いた赤司。
ビクリと黄瀬の肩が跳ね上がるが、他の面々はなんだ今更と呆れ気味だ。




「なぜ僕が他の先生たちに言われなければならない。大輝(バカ)の成績など僕には関係ない」



1年のときから学年トップを取っていた赤司。
先生に頼られることも多いが、さすがにこれには回数が多すぎて嫌気が差したのだろう。


…ていうかだったらオレらに言うんじゃなくて本人に直接言ったら…?


黄瀬が内心、そんなことを思っていたら睨まれた。
思いっきり赤司に睨まれた。


 
「スンマッセン!!」


もう何にも余計なこと思わない!
そう心に誓った黄瀬であった。


「…で、なにか対策はあるんですか」

「あぁ、ある」

「ならそれをやればいいのだよ」

「あるにはあるが…」

「ん?赤ちんどしたの?」

「一応あんなのでもエースだ。多数決を取ろうと思ってな」

「なんですか?」















「一度大輝を締めようと思う」















「ストップゥゥゥウウ!!ダメでしょ!?なんスかその“ちょっとコンビニ行ってくる”みたいな気軽さは!」




 
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