企画部屋

□「どうするんだろうな」
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「―――…どうしたんだい、テツヤ」



歩みを止めた黒子に気付いた赤司が声を掛ける。


「…いえ、なんでもありません」



一瞬、聞き覚えのある声が聞こえた気が…。
気のせいだと思い、再び歩き出す。

赤司が黒子の背後を見据え、僅かに目を細めたことに気付かないまま。



やがて一つの扉の前に立ち止まり、ガチャリとドアノブを回し開ける。


先程まであった熱気は嘘のように取り払われてしまったコート。
観客もおらず、閑散とした会場にはすでに先客がいた。




「すいません、遅くなりました」

「すまない、待たせたな」



先客たちに声を掛ける。
中には四人の少年たちが。


 
「久しぶりっスねー」

ひらひらと手を降り、コート脇のベンチに座る黄瀬。


「紫原、食べカスを溢すな」

相変わらず不似合いな熊のぬいぐるみを持った緑間。


「これ美味しいよ?ミドチンも食べる?」

「遠慮する」

お菓子の袋を漁る紫原。


「つかなんの用だよ、赤司」

ダルそうに黄瀬と反対側のベンチに寝転がりボールを手で回す青峰。




―――…“キセキの世代”が、そこにはいた。



「ちょ、“キセキの世代”全員集合…!?」


二階の観客席、文字通り忍び込んだ火神たち三人の姿があった。

声を潜めて、身を隠し、盗み聞きをしているのだ。


 
「全員いると思ったからね、久々に集まろうと思っただけだよ」


黄瀬は神奈川、青峰、緑間に黒子は東京だ。
会おうと思えば会える距離にいる四人とは違い、赤司と紫原は他県だ。
その言葉にやけに実感が籠っている。




「まずは準決勝進出おめでとう、大輝」

「あ?当たり前だろ」

「あー!青峰っちに勝ちたかったっスぅ!!」



パチパチとあまり心が籠っていなさそうな拍手を送る赤司。
黄瀬が悔しがるも、青峰は鼻で笑う。



「涼太も見ない間に成長しているね。正直驚いたよ」

「峰ちんをコピっちゃうなんてね」

「勝ちに拘りましたね、黄瀬くん」

「青峰っちは超えるべき壁っスからねー」

「ぐーだらの怠け者をか」

「おいこら緑間!誰が怠け者だ!やる気が出ねぇだけだ!」


 
ギャーギャーと騒ぎ出した“キセキの世代”をみてリコが目を輝かせた。


「やっぱり“キセキの世代”もただの学生ね!」




日向はそれにげんなりしつつ、この監督が黒子を呼ばないのはこれを見たかったからかと嘆息する。

まぁ、たしかにおもしろいなぁ、とは思ったが。


だが次の瞬間、赤司が放った一言に、目を見開く。






















「―――…それで、テツヤ。まだ、誠凛にいるつもりなのかい」



 
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