企画部屋

□いらない、そんなやつ
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今日もハードな部活動が終わり、それぞれが談笑しながら着替えていた。



「―――…テツヤ」


そんな中、まだ練習着のままの赤司が、隅っこの方で隠れるように着替えていた黒子に話しかけた。



「…はい?」

既にYシャツに着替え、ブレザーを手に持った黒子が首を傾げる。



そんな黒子を赤司が見据える。
そのなんとも言えない雰囲気に、部員の動きが止まる。
居心地が悪そうな後輩や先輩たちを一瞥した黒子が促す。



「どうかしましたか?」

赤司がゆっくりと黒子に近付く。
ふいに、その手が黒子の肩を掴んだ。



「!」

バッと、素早い動きで赤司の手を振り払う。




「…いつからだ」

「なにがですか」

「誤魔化すな。痛めているんだろう、その肩」

 
黒子の目が驚愕に見開く。


「―――…えぇ!?黒子っち、怪我っスか!?」

黄瀬が文字通りすっ飛んできた。
黒子の肩が心配で触ろうとするが、痛そうな様子に触るに触れない。


「…ちょっと、ぶつけてしまっただけです」


目を反らした黒子がブレザーを着、素早く荷物を纏め部室を出ていく。


「テツヤ」

出ていく寸前、赤司が呼び止める。



「肩の怪我が完全に治るまで部活は禁止だ。わかったな?」

「…はい」

 
頷いて、帰っていく黒子を見送る。



「…さて」

パタン、と閉じた扉を確認した赤司が振り返る。
その瞳の鋭さに、息を呑む。



「…赤ちん?」

「誰が、やったのかな」



紫原の疑問の声に、聞こえないふりをして赤司が言う。


「…は?誰が、って、なにが?」



パチリと目を瞬かせた黄瀬が聞く。
出入り口を塞ぐように赤司が唯一のドアにもたれ掛かる。



「誰が、テツヤに怪我を負わせたのかな」

「…へ?黒ちん、ぶつけたって言ってなかった?」



紫原が不思議そうに首を傾げたが、赤司が目を細めたのに元に戻す。


「…もぅ一度聞くよ。正直に答えてくれ」

冷たくなっていく瞳に、部員たちが凍り付く。

 
―――…その部員たちの一角に、赤司が目をやる。

「誰が、テツヤに怪我を負わせたのかな」


みるみる青ざめていく表情を見ながら赤司が小さく嘆息する。


「心当たりがないものは帰ってもらって構わない。心当たりがあるものは、残ってくれ」

ドアからずれた赤司。
我先にと帰る部員たちがいるなか、数名が残った。



「あ?…てめえらがテツに、怪我を負わせたのか」


青峰が、名も知らない部員を鋭く睨み付ける。


残ったのは“キセキの世代”の面々と、二軍に所属している先輩だ。
だが強さだけが絶対の帝光に、歳は関係ない。


 
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