企画部屋
□ずっと、そばにいます
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PM20:30
風呂から上がった黒子を待っていたの満面の笑みを浮かべた黄瀬だった。
「黒子っちー♪」
その笑顔、女に向けたら一体何人が落ちるのだろうか。
どこか冷静な部分でそう考えた。
「黄瀬うぜぇ」
隣に立つ青峰がボソリと呟く。
「ひでぇっスよ青峰っち!今日1on1出来なかったし!」
「知るか!つか邪魔だ!」
笠松が深くため息をついたのについ黒子は同情してしまった。
“キセキの世代”は良くも悪くも自由な性格なのだ。
つまり、めんどくさい。
そう考える黒子自身も厄介な性格をしているのだが。
休憩所のような広い部屋に入り込んだ四人。
火照った身体を冷ますようにパタパタと手で仰ぐ。
黄瀬が嬉しそうに黒子に話しかけ、時たま青峰が黄瀬を煽り、うるさくなった黄瀬を笠松が蹴り飛ばす。
そんなことの繰り返し。
「―――…なんだ、お前らか」
緑間が、部屋に入ってきた。
タオルを頭から被りまだテーピングされていない手で眼鏡を掛け直す。
後ろからは高尾も入ってきた。
「うわぉ、有名人ばっか!」
野次馬かお前は。
笠松が疲れたように心の中で突っ込む。
自動販売機でポカリを買い、椅子に座った緑間がテーピングをし始める。
「相変わらず巻くのうまいっスねー、それ」
「いつものことだ」
「あれ?ていうか今日のラッキーアイテムは?」
「タオルだ」
「普通っスねー」
水が入ったペットボトルを置いた黄瀬。
ふと思い出したように呟いた。
「あ、そういえば赤司っちとか紫っちとかなにしてんすかね」
「赤司くんならちょくちょくメールが来ます」
「主に試合に出ろとかだろう」
「…なんでわかるんですか」
「いや、それしねぇとテツ試合に出ねぇだろ」
「…」
「貴様はなにしても出ないだろう」
呆れたような緑間の視線を受け、黒子が僅かに目をそらす。
「…あぁ、そういえば赤司くんから伝言があったんでした」
空になったカンをゴミ箱に捨て、出口に向かって歩き出す。
「“ウィンターカップで会おう”…だそうです」
用件は済んだ、とばかりに歩き出した黒子。
笠松が息を呑む。
まさかここで、“キセキの世代”の話を聞くとは思っていなかった。
しかも今は敵同士だからか、少し、空気が重かった。
さらに、重くなった気もしたが。
「ウィンターカップ、ね…」
「相変わらず、すべてをわかったようなやつだな」
「だから赤司っちなんスけどね」
気に食わねー、そう言った青峰が部屋を後にする。
「まったく…。自分勝手なやつらだ」
緑間が深く、ため息をつく。