企画部屋

□あなたに忠誠を
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「はっはっはっ!!おもしれぇー店だったな」



肩を震わし、お腹を抱えて笑うルフィ。
隣ではコビーが不安そうにしているが。



“ゾロ”と“モーガン大佐”がこの街で異常に怖がられているのだ。
海賊狩りの“ロロノア・ゾロ”が恐れられているのはわかるのだ。

でもなぜ“モーガン大佐”が恐れられていたのだろうか。

不思議がるコビーを一瞥し、ルフィは楽しげな表情のままに海軍基地まで歩く。




「行けよ、コビー」

「え!?まだ心の準備が…」


オロオロするコビーをよそに、壁によじ登ったルフィが中を覗く。



「大将!モーガン大佐に面談を…」



周りで海兵たちがルフィに話しかけるも、ルフィは我が道をいく。

 
何かを探すように首を動かす。
そして―――…



「…見つけた」



ぴょんっと飛び降りたルフィが走り出す。


「ルフィさん!」

慌てたように周囲が追いかけるも、時々立ち止まり、中の様子を伺う。


「ほら、あれだよ」



何回かそれを繰り返し、ようやくルフィが落ち着く。
中を指差し、コビーが覗き見る。



「!!」


恐る恐る覗いたコビーが驚きに目を見張り、ドサリと落ちる。


「どうした?」


ルフィが上から不思議そうに問いかける。
周りの海兵の手を借りてコビーは起き上がった。
 
「く…く…黒い手ぬぐいに腹巻き!!ほ…本物だ、本物のロロノア・ゾロだ!!」



コビーの掠れたような叫び声に周囲がどよめく。
うるさい心臓を押さえつける。



「あ、あれがロロノア・ゾロ…ッ!!」



十字に縫い付けられた男。
その雰囲気を言葉で表すなら“獣”だ。



「あれがそうか…」

ルフィの目が好奇心に輝く。




「―――…おい、お前」


低い声が、ルフィを呼ぶ。


「ちょっとこっち来てこの縄、ほどいちゃくれねぇか。もう九日間もこのままだ。さすがにくだばりそうだ」



ニヤリと、ボロボロの体で笑う。
ゾクゾクとした感情がルフィの背中を駆け抜ける。



コビーが怯えたように何かを言うが、ルフィは聞いてはいなかった。

 
―――…気に入った。


ルフィが口の端だけで笑う。



「こら、君ダメだよ!」

ふと、後ろから聞こえた声に振り向く。
そこには海兵に止められた小さな少女がいた。



「は、はなして…ッ!!」


腕に何かを抱え、必死に海兵の手から逃れようとする少女がいた。

「なんだ、お前」


飛び降りたルフィが、少女に問いかける。



「わ、わたし…コレ…ッ!!」



持っていたなにか…おにぎりを差し出す。
それを静かに持ち上げたルフィが、顔を上げる。


不安そうに見上げてくる少女を抱え上げ、助走をつけて壁を飛び越えた。



 
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