企画部屋

□あなたに忠誠を
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「大将!?」

「ルフィさん!?」



驚いたような声が壁の向こう側から聞こえた。
身体にしがみついてくる少女を抱えたまま、ルフィはゾロに向かって歩く。
バサリと、海軍将校の証の羽織が翻る。



「お前…ッ!!」

ゾロが驚いたようにルフィの身に付ける羽織を見る。



「…ほらよ」

少女を降ろし、おにぎりを渡す。


「あ、ありがとう!」

一瞬、ポカンとした表情をしたものの、次の瞬間には華が綻ぶように笑った。
ゾロに向かっておにぎりを差し出す。



驚きから立ち直ったゾロが荒々しく声を上げるも、少女は食らいつく。
その間に壁を飛び越えてきたコビーや海兵たちが追い付いてきた。


 
そして聞こえる、ゾロにとって不愉快な声。
嫌味ったらしい笑みを浮かべた金髪のオカッパの男。

ルフィが見えていないのか、親の威光“モーガン大佐”の息子を強調する馬鹿な男。
少女が持っていたおにぎりを踏み潰し、泣かす。



「な、なにしてるんですか!?」


我慢できなくなったコビーが少女を庇うように立ち塞がった。


「あ?誰だてめえは。オレに、“モーガン大佐”の息子に逆らうのかてめえは!?」


その名を出せば誰もが従う、そう信じて疑わない口調だ。
同じ海兵であることが嫌なのか、ルフィの後ろに従える海兵が男に侮蔑の視線を送る。


 
「ひ、ヒドイです!この子が一生懸命作ったものを…ッ!!」


一瞬怯んだが、それでも立ち向かったコビーに、男の顔が真っ赤になる。
今まで自分に逆らうようなやつはいなかったのだ。


逆らったコビーに、腹がたったのだろう。


「おい!こいつを撃ち殺せ!」

男の後ろに控えていた海兵に指示が飛ぶ。

しかし、いつまでたっても実行しないやつに苛立ちが募る。


振り返った男は怪訝そうに首を傾げる。



「なにしてんだ、てめえら」



敬礼をしていた。

それも酷く、緊張しているように。




「無礼者!!」



ガチャリと、男の後頭部に銃が突きつけられた。



「な、何しやがる!お、親父に言い付けんぞ!」

 
再びこちらを向いた男の眼前に突きつけられた銃。
突きつけている海兵は、厳しい表情をしていた。




「いいよ、気にしてねぇし」

「ですが…ッ!!」



その声に、男が漸くルフィに気が付いた。
ゾロを真っ直ぐに見据えているルフィを見た男の目が見開く。




「―――…大将…ッ!?」


麦わら、と掠れたように続けられた言葉に、しかしルフィは反応しなかった。




「てめえ大将、なのか」

「あぁ、自己紹介してなかったな」



今気が付いた、とばかりに手を打ったルフィが手を差し出し、口を開く。







「モンキー・D・ルフィ。海軍大将、“麦わら”、だ」


 
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