短編

□キセキたち
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「いつも通りで良いんじゃないですか?」

「でも黒ちんと峰ちんは別々ね〜」

「あぁ!?んでだよ!!」

「当たり前っスよ!二人が組んだら止めんのムリっス!!」

「と言うより、必ず大輝とテツヤは一緒になってないか?」

「…そんなのいちいち覚えてないのだよ。いいからいつも通りで良いだろう」





えー!と文句が挙がるが、それを緑間は無言の威圧で黙らせる。



結果、黒子・青峰・黄瀬チームと赤司・緑間・紫原チームに分かれた。





「やったっス!!黒子っちと一緒!!」

「よろしくお願いします」

「…また大輝とテツヤ一緒って…。なにか仕組んでない?」

「疑ってんじゃねぇよ」

「黄瀬ちん鬱陶し〜。捻り潰していい?」

「バスケ中に、どさくさに紛れてやるのだよ」

「ちょ、なに許可してんスか、緑間っち!!」



 
ぎゃーぎゃー騒ぐ彼らは、だらだらとした動きをしながらもコート上へと足を運ぶ。




やっと始まるのかと、見る。



「…じゃぁやりますかぁー」


気の抜けるような言葉とヘラリとした紫原の笑みを合図に、始まった。


本当の意味での、キセキの世代たちの対決が。


 










それは予想以上に素早く、鋭く、バスケ好きの心を高ぶらせた。

最初は紫原から始まり、赤司にパスをした。



かに見えたのだ。


「隙だらけですよ」


なんなく黒子が間に入り、パスカットをする。




あ、と紫原の声が漏れる頃にはボールは黄瀬に渡っていた。




「黒ちん反則〜」

「馬鹿なことを言わないでください」




紫原のふて腐れた言葉をサラリと受け流し、ミスディレクションを発動させる。




「調子に乗るなよ」

緑間が黄瀬からボールを奪いとった。




「あー!!」

「うるさいのだよ」



眉をしかめながらもシュート体制に入る。



誠凛メンバーは誰もが思った。

先取点は緑間かと。


しかし…。

「この馬鹿!!簡単に取られんじゃねぇよ」


 
寸前で青峰が叩き落とした。



「チッ…」


次に青峰が持ち、ゴール付近まで一気に運ぶ。





「ちょっと〜、そう簡単にはゴールさせないし」

ゴール下にいた紫原が構える。



それにニヤリと笑った青峰はボールを後ろに投げた。



は?と、見ているだけの誠凛メンバーは唖然とする。

なにをしているのかと。



だがコート上にいたメンバーは違う。



赤司も紫原も緑間も警戒した。




「…先取点はもらいです」



そうだ。
忘れていた。

彼がいたではないか。





 
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