携帯獸−Parody−
□白に落ちる赤
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傷口に触れた舌によって来るぴりっとした痛みがした後、喉へ投下する音といやらしく感じてしまう水音が洞窟内に響く。
「……ん……ふっ、はぁ……」
血を吸っているだけなのに真横から聞こえてくる声はエロい。
ちょっと顔が見えないのが残念だと思ってしまったりする。
ちゅっ…という音がした後、レッドは顔を上げた。
「ごめん…。切った痕、消えてるけど、ちょっと赤くなっちゃった…」
恥ずかしそうに顔を赤らめるレッド。
持っていた鏡で見てみると、なんて言うかキスマークみたいになってて、俺も顔に熱が集まるのを感じる。
「吸血鬼は進化して昔みたいに痕を残さず、消すことが出来るんだ。…自分のは無理だけど」
「すごいな、今の吸血鬼って…」
「僕ハーフだけどね」
レッドは俺にひっついたまま話している。
「レッド…。『餌』って何のこと?」
そう言うと、レッドはまた泣きそうな顔になりながらも話し始めた。
「『餌』っていうのは…、僕みたいなハーフは血を飲もうとしても、人間の部分が拒絶してしまう。だから、同じ人間からその人が死ぬまで血を貰わなくちゃいけなくなる。そのこと自体を『餌』っていうの」
「そうか、なる程な…」
「ごめん…。グリーンのこと縛ることになっちゃうね……」
レッドは俯いてしまう。
「だったらさ、丁度いいんじゃね?」
そう言うとレッドはぱっ、と顔を上げた。
「………?」
「お前が吸血鬼なのを知ってるのは俺だけでいいだろ…?」
レッドが吸血鬼と知って殺しに来る奴がいるかもしれない。
それにレッドに血をあげるのは俺だけでいい。
気づいているのだろうか。
レッドは俺を縛るといったが、逆だってあることを。
生まれたのは小さな独占欲と支配感。
「…っ!……ありがと」
はにかむような笑顔を浮かべるレッドを見て、あぁ良かったなと思う。
この笑顔を守るためなら何でも出来る。
レッドはふぁ…と欠伸をもらして、目をこする。
「こら、こするな。……眠いのか?」
「………ん」
そう言うとレッドは俺の胸に頭を乗せて、ウトウトし始める。
濡れた黒髪を撫でてやると、すぐにスー…っという寝息が聞こえてくる。
「食ったら寝るって…子供かよ」
くすっと笑うとレッドもふにゃりと顔を緩ませた。
今度もこの笑顔を守るのは自分でありたい。
そして、頼ることも覚えて欲しい。
「はぁ…、俺も寝よう…」
腕の中にいる愛しい体温を抱き締めて、俺は夢の世界に旅立った。
白に落ちる赤
end…?
*あとがき*
やってみたかったパロです!定番ですが、好きなので。やっぱり心持ち長い文章に…。短く書けるようになりたい…。
続編書こうか検討中です。