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□言い続けた
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「レッド、お前一年間で何回嘘ついたことある?」



机に向かっていたグリーンはふと思い付いたようにレッドに話しかけた。



「あんまりないかも」



そう言うレッドはグリーンのベッドでクッションを抱えていた。



「1092回と728回」


「?」


「一年で嘘をつく回数だよ。男性が1092回で女性が728回」


「へー‥‥あっ」


「どうした?」


「‥‥あるかも」


「嘘ついたのか?」



グリーンがたずねるとレッドはこくん、と頷いてクッションに顔を埋めた。



「今も」



珍しいな、と思いながら椅子を回転させてレッドを見る。

俺が知る限りでもレッドは嘘はつかない。



「何嘘ついたんだよ」



クッションの隙間から見える耳は赤い。



「‥‥‥‥グリーンに」



消えそうな声でレッドは呟いた。
そして完全に顔を埋めてしまう。


言えるわけがない。

考えただけで顔が真っ赤になるのだ。

しかも、コレは長年閉じ込めてきた嘘だし。

コレを言ってしまったらもう元には戻れない。



「言ってみろよ」


「‥‥‥秘密」


「じゃあ俺もレッドにあるけど言わない」


「!」



グリーンにもレッドにつき続けていた嘘があるらしい。

卑怯な手を使ったな今更ながらにとグリーンは思う。



「‥‥聞きたい」
「レッドが言ったら言ってもいいぞ」



大きな不安と淡い期待。

胸の内が掻き乱される。



「‥‥‥いいよ」


「せーので行くぞ!せーのっ!」



ヤバい、心拍数上がってる。

グリーンは内心でそう思った。








「レッドのこと好きだ!」

「グリーンのことが好き」








言葉を発した途端、フリーズした。

ようやく動き出したと思えば二人は顔が真っ赤だった。






君につき続けていた嘘は


お前につき続けていた嘘は




『好き』という感情をひたすら隠していたこと。








end


*あとがき*
終わりが見えなかった…。あはは、トンボ切れ…。
 

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