携帯獸−Novelette−

□サヨナラから始まる
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空は快晴。陽気もあって、ここは日向。

思わず眠くなって欠伸をもらす。

俺、大木戸緑ことグリーンは今日この白銀高校に入学した。

只今、始業式が終わった後のLHR中。

このクラスの担当の先生が前で話をしていた。

やたらと若い。しかも金髪で、女子生徒はソワソワとして落ち着かない。
後ろを振り返ると、ぽかぽか陽気の太陽のせいか、爆睡している奴がいた。



「まぁ、仕方ねぇけどよ」



癖のない艶のある黒髪のそいつは机にうつ伏せて寝ていたから、顔が全くわからない。



「じゃあ今日は終わろうかな。各自解散ね」



担任の号令がかかっても起きねぇし。
しかも担任気がついてねぇし。



「おーい、お前。LHR終わったぞ」



うわ、俺超親切。


ユサユサと揺すってみたら、ゆっくりと伏せていた顔を上げた。

眠た気に伏せられてる瞳は見たこともない程綺麗な赤で、思わず見惚れた。



「‥‥‥?」



目の前の奴がこてん、と首を傾げる。

男子高校生がやってもちょっと…って動作だが、なんとなくあっていた。


「あ、悪ぃ悪ぃ。こんな陽気じゃ眠くなるよな。もうLHR終わったぜ?」

「‥‥‥」



きょろきょろと辺りを見回してから、コクンと頷くそいつ。

ってかなんでさっきからしゃべんねーんだ?



「俺、大木戸緑な!グリーンって読んでくれ!よろしく!え〜っと、」



話す気配のないソイツはおもむろに紙を取り出すと、結構綺麗な字で四文字書いた。



「“楠木朱里”?うん。いい名前だな!よろしく」



赤い瞳を持つコイツにはピッタリだな。



「じゃあ俺、お前のことレッドってよぶから!」

「!!?」



なんで、みたいな顔で返される。面白い奴だな。わかりやすい。



「あだ名だよ、あだ名。
それに呼びやすいだろ?」

「‥‥〜〜」



音声に出来てたら、うーっ…とか言ってそうだ。
しばらくしたら、コクンと頷いた。



退屈しない一年が送れそうだ。



眠気との格闘



2話 end
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