携帯獸−Novelette−

□サヨナラから始まる
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「あれ‥‥?」



いつも通り学校に来て席につくがレッドの姿が見えない。


おかしいな〜とか思っていたら朝のSHRの始まる鐘がなった。


前のドアから松葉が入ってきて教卓に立ち今日の予定やら、しょうもない話を生徒としたりしていた。

委員長の号令で立ち上がり、礼をした途端、ガラッと後ろのドアから音がした。



「あ、レッド君おはよう」



松葉が呑気に教卓の上から挨拶をする。
それにペコッと頭を下げるレッド。



「もうSHR終わっちゃったよ。今度から気をつけるようにね」



またコクンと頷いてこっちに歩いてきた。



「はよー、レッド。
今日遅かったな。寝坊か?」



そう言うとレッドは首を縦に振った。



「レッドって家此処からそんな遠いわけ?」



ちなみにこの高校は関東と条都の間にある。
田舎町だから自然だけは豊かだ。

レッドは首を斜めに傾げる。微妙、ってことか?
席にレッドは座ると紙を取り出した。



『なんでグリーンはいつも早いの?』

「え?そりゃあ俺自転車通学だからな」



ちなみに学校から1.5km以上は許可されれば自転車通学可能だ。

ああなる程とポンと手を叩くレッド。



「歩いて40分を15分くらいで学校つくし。そりゃあ早いよな」



レッドは短く首を縦に振る。



「多分レッドにも許可証は出るんじゃねぇの?」



するとレッドは真っ赤になって俯いた。

シャープペンで戸惑いがちに文字を書く。



『‥‥乗れないんだってば』



そう書いた途端、プイっとそっぽを向いた。
相当恥ずかしいらしい。

まぁ恥ずかしいよな高1にもなって自転車乗れなかったら。

やっぱりその動作が可愛く見えて頬が緩む。



「あれ?でもお前運動神経良かったっけ?なんで乗れないんだよ?」



体育で行ったサッカーでも野球でも俺と張り合うぐらい運動神経は良かったはずだ。



『練習しようと思わなかったから?』

「まぁそうなるわな」



当たり前の返答に頷かるを得ない。



「レッドって朝弱いのか?」



そもそも遅刻してくるくらいだ。
夜更かししたか朝に弱いかだよな普通考えれるとしたら。

レッドは頷くと、紙に何かを書く。



『寝起きが悪いんだ。朝昼は関係ないかも』

「だったらモーニングコールしてやろうか?」



冷やかし半分で言うとレッドにバシっと叩かれた。

地味に痛ぇし。



自転車登校の特権



六話 end
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