携帯獸−Novelette−

□サヨナラから始まる
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自室のカーテンを開けると眩しい朝日が俺に射す。



「ねむ‥‥っ」



窓を開けて携帯から鳴りだしたアラームを止めた。



「そういえば‥‥」


《寝起きが悪いんだ。朝昼は関係ないかも》


『だったらモーニングコールしてやろうか?』



なんて会話した気がする。

イタズラ半分で手早くメールを打つと笑みを浮かべながら、携帯を机に置いた。

直後外から受信のメロディのようなものが聞こえる。


気のせい‥‥か?





青空が広がる窓の外を見ながら、平和だなーと宛もないことを考えていた。

結局部活にも入らなかったし、かと言って家に帰っても暇だしなぁ。

俺はノートの端を大きめに破った。
シャーペンを握って何書こうと考えてると、後ろからツンツンと背中をつつかれた。

振り返るといるのは無論レッドで。



(ひ、ま)



口ぱくで俺に伝えるが、先生が俺達の方を向いて慌てて前を向いてシャーペンを握る。

さっき千切ったノートの端に手早くシャーペンを走らせると畳んで後ろに放った。



『暇だなー。なぁなぁ放課後どうする?』

『また教室でゲームする?』



俺達は揃って同じゲームに嵌っていた。


【ポケットモンスター】


ポケモンと呼ばれる動物みたいのを捕まえたり、育てたり、バトルしたりするゲームだ。

悔しいことにレッドに一度もバトルで勝ったことはないのだが。



『今日学校早めに閉めるらしいぜ』

『じゃあどうするの?』



この頃はゲームを持ち寄って学校でのんびりしていた。



『あ、そうだ今日俺ん家来ない?来る?よっしゃー決まり!じゃさっそく行こうぜ!』

『グリーン紙の上でも煩いんだね。勝手に決めないでよ。あと、まだ授業中だから行けないよ』



俺ん家は広いし、いつあがっても大丈夫だし。



『細かいことはいいんだよ』



キーンコーンカーンコーン‥‥。



「で、来るか?
否定ばっかしてたけど‥‥」



チャイムが鳴って礼をした後、レッドを見るとさっきのノートの端に綺麗な字で何か書いていた。


『行きたくないわけじゃないけじゃないけど‥‥』

「けど、なんだよ」



眉を寄せて(傍目からは無表情)いるレッドに問うと、また紙に書いた。



『僕が行ってもいいの‥‥?』

その質問に思わず固まってしまった。

行っていいも何も俺はレッドを誘ってるんだけど‥‥。

多少不安そうな顔(やっぱ傍目からは無表情)のレッドを見て笑いながら、その艶のある黒髪をかき混ぜるように撫で回した。



「俺が良いって言ってんだからいいんだよ!」



こっそり回した手紙



「グリーンのバーカ」



小声で呟いたレッドの声は俺には届かなかった。


七話 end
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