携帯獸−Main−
□暖かなぬくもりは、最後まで傍にいるよと笑った
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「‥‥ふ‥‥っ」
雨が降ってくる。それは天気でいう雨じゃなくて、涙の雫だ。
僕はレッドの腕の中で、痛い程力を込められて抱き締められている。
でも僕は痛いと言わずに、赤く煌めいている瞳から零れる雫を拭うように舐めた。
しょっぱいそれは、悲しみで流す涙。
「‥‥ぴぃかちゅう」
泣かないで、と言っても僕の言葉はレッドには伝わらない。
偶にだけれど、止め方を忘れたように泣き続ける。
その時はレッドが口うるさいと言うライバル、グリーンはいなくて、レッドに挑み続けるヒビキもいないことが多くて。
僕は勝手にモンスターボールから出て来て、レッドの側に寄る。
そしてただ泣き続けるレッドを見てるしかできない。
だから僕はレッドが泣き止むまで腕の中にいる。
(泣かないで。僕は最後まで傍にいるよ)
暖かいぬくもりでしか僕は伝えることが出来ないけれど。
暖かなぬくもりは、最後まで傍にいるよと笑った
end
*あとがき*
title.「空とぶ5つの方法」より