企画・リクエスト・記念
□チョコレートの代わりに
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2月の冷え込む寒空の中、俺はリザードンに乗っていた。
下を向きながら目当ての奴を捜す。
「いないな‥‥」
わざわざジムを閉めてまで捜しているのになかなか奴は見当たらない。
しばらく捜していると騒がしい声が聞こえてきた。
「わー!いいんすか貰って!」
「‥‥‥」
「ありがとうございます。ちょっとゴールド!レッドさんに抱きつかないの!」
ジョウトの奴らが片手にラッピングされたものを持ってゴールドは喜び、シルバーは無言だ(多分恥ずかしがっている)。
クリスタルは抱きつきに行ったゴールドを諫めている。
おおよそラッピングされたそれはバレンタインデーチョコ。
そして抱きつかれていたのは捜していた張本人、レッドだ。
ゴールドに軽く殺意が芽生える。
俺のレッドに抱きつくな。
しかも俺はまだレッドからチョコを貰っていないというのに。
真上に来ると影がかかったのか4人がこっちを見上げる。
そのまま降下して降り立った。
「グリーン!!?」
「グリーン先輩!?」
驚いた声をあげ、それぞれ俺を見た。
レッドにめったにしない満面の笑顔を浮かべてみる。
「ぐ、グリーン‥‥?」
レッドは引きつった顔をして後退った。
ゴールド達も凍りついたまま動かない。
「何故後退る」
「や、だって‥‥」
「まぁいい」
俺はレッドの腕を掴むとリザードンの上に投げた。
「おいグリーン!」
抗議の声をあげるが、気にせず隣に飛び乗る。
「何するんだよ!」
「リザードン上がれ」
「俺の話聞いてたか!?」
レッドの話を無視して空にあがると、リザードンにレッドの家に行くように頼む。
「俺の家に行ってどうするんだよ」
「わかってるだろ」
ニヤリと笑って見せるとレッドは真っ赤になって大人しくなった。
あっという間にレッドの家につくと相棒に礼を言ってモンスターボールの中へ戻す。
俺の持っている合鍵でレッドを引き連れ中へ入った。
勝手知ったるレッドの家を進んでレッドの寝室のドアを開けた。
再び俺はレッドの腕を掴むと今度はベッドに投げる。
スプリングが悲鳴を上げてレッドの身体を受け止めた。
「いっつ〜!何するん、だよ‥‥」
怒ろうとした声は勢いをなくして萎む。
理由は俺がレッドの上に跨がり手を押さえつけたからだ。
「え、グリーン?」
困惑した様子で俺を見上げていたレッドだったが、思いついたかのように喋り出す。
「もしかして‥‥怒ってる?」
「あぁ」
「なんで‥‥って俺がゴールド達に菓子上げてたからだよね」
「まぁな。‥‥言い訳はそれだけか?」
納得しかけたレッドが固まる。
俺は顔をレッドの耳に近づけ息を吐くように低音で言った。
「菓子がないならお前を喰う」
見る見るうちに真っ赤になったレッドはコクンと頷いた。
合図を告げるようにレッドに深い口付けを送った。
チョコレートの代わりにお前を喰らう
「ちゃんとチョコレート用意してあったのに」
「ならなんで俺に先に渡さないんだ」
「ん〜。ジムまだやってるかなぁって思って」
「別に良かったんだが‥‥」
「ねぇグリーン」
「なんだ?」
「嫉妬した?」
「っ!!」
end