携帯獸−Main−
□君の笑顔が見たいんだ!
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月の光が照らされる部屋の中、ヒビキがシルバーを押し倒した。
『シルバー‥‥。僕もう限界なんだけど‥‥』
切羽詰まったような泣きそうな顔でヒビキはシルバーの頬に手を添えた。
『‥‥いい。我慢しなくても』
『でもシルバーが‥‥っ!』
『大丈夫だから』
そう言って頬に添えられた手に自分の手を重ねる。
微かに震えてはいたが、暗闇の中微かな光で笑って見せた。
そうして二人は――…。
「わあぁぁっ!!!ストップストップ!」
「何よヒビキ君」
「何でいきなり其処まで発展してるのさ!」
「名付けて【ヒビキ君がヘタレ(攻めれ)ば、シルバー君が笑ってくれる】作戦!」
「ヘタレるのはグリーン先輩だけで充分だよっ!」
誰がヘタレだ!byグリーン。
「まさかキスしたことないなんていうわけじゃないでしょ?」
「うっ‥‥」
目を逸らしながら居住まいを正すヒビキを見てコトネはニヤニヤしながらオレンジジュースのストローに口をつけた。
「ウブですねー。ヒビキ君わぁ」
「う、うるさいなぁ!」
真っ赤になって反抗するヒビキにあっ、とコトネは後ろを指した。
振り返ると首を傾げているシルバーがいた。
「どうしたんだ?ヒビキ」
「あ、えっと、その」
ヒビキはコトネにどうしようと目線を送るが、コトネは口笛を吹きながら知らんぷりだ。
ヒビキはどうしようどうしようと考えながら手をブンブン振る。
シルバーは意味がわからず眉をひそめた。
「シルバー!今から一緒に出掛けよう!」
「え、おいコトネは」
シルバーの手を掴み、店を出ようとするヒビキを止めてコトネに言うとヒラヒラとコトネは手を振った。
「私はいいから遊んで来いってコトネ!」
「シルバー早く!」
真っ赤なまま前を向いたまま歩き出すヒビキを見て、シルバーはこっそり微笑んだ。
(あ‥‥。なんだシルバー笑えるじゃない)
コトネは仲良く店を出た二人を見ながら笑った。
(でもヒビキ本人が見る日は遠そうってコトネ‥‥。何せシルバー君もツンデレだし。
ま、頑張れってコトネ!)
君の笑顔が見たいんだ!
end