企画・リクエスト・記念
□守ってみせるから
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昔から変わらない緑溢れるマサラの道を歩いていると、肩に乗っているピカが後ろを見た。
釣られてレッドが振り返ると、可愛らしい目を丸くして見上げている女の子がいた。
「どうしたの?」
しゃがみ込んで少女と目線を合わせると不思議そうに首を傾げる。
正確には少女が見ていたのはレッドの肩に乗っているピカだった。
気がついたのかピカが少女に近付いた。
「かわいい」
舌っ足らずな声でピカを撫でると、まだ丸い頬を緩ませた。
その愛らしい光景に和みなからレッドは思い出したようにモンスターボールを取り出した。
「ニョロ!」
ニョロを出すと、子供は嬉しそうにニョロをまじまじと見る。
子供なれしているためか、躊躇なしに子供を撫でるニョロはやっぱりいい兄貴分だ。
ピカを撫でていた可愛らしい手が止まり、レッドを見上げた。
「あ‥‥っ!」
少女が声を上げた途端、レッドの身体が浮く。
其処には黒服の男達がレッドの腕を引き上げていた。胸にはRの文字。
「ニョロ!その子を安全な場所へ!」
腕を振り払いながら、ニョロに言うと震えていた少女を抱えて草むらに入った。
ピカを呼ぼうと口を開こうとするが足に力が入らなくなり、その場を崩れ落ちる。
ヤバい、と思った時には意識を失っていた。
涙をこぼしながら、声を殺して泣く少女を残して。
*