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□アンタがいたから
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『君、誰?』



会った時と全く同じ言葉で赤の瞳を向けられた。



『此処から早く離れた方がいいよ。
‥‥僕が壊す予定だから』



そう言うと、奧に進んでいった。



「じゃあ君は…」



レッドはシルバーを見て驚いたように瞳を見開く。

それを内心嘲笑いながら、シルバーは赤銅の瞳を合わせた。



「俺は、カントー地方トキワジムリーダー、R団ボス、サカキの‥‥息子だ」



「君がサカキの息子…?」



何処か納得したような顔と困惑したような顔をしてレッドはシルバーを見た。



「‥‥君は似ていた。
バトルの仕方が、サカキに。
でも君は違った。
君は‥‥彼とは違う」



その言葉に何処かでほっとしている自分がいた。


幼い頃から父‥‥サカキに憧れていた。

ずっと強くなろうと、強くあれと、背中を追っていた。

怖かったのかもしれない。

だからこそ俺もあんな風になってしまうのかと。



「そう、か」



満足気に微笑んでシルバーはレッドに背を向ける。



「アンタには感謝してる」

「何で?」

「俺はアンタがR団を壊してなかったら、旅に出ることなんてなかった。
アイツ等に会うこともなかったんだ」



太陽のように笑う正直うるさくて俺には眩しすぎるくらい真っ直ぐな奴らと。

あの笑顔に俺は救われたんだ。



「あの頃、凄くアンタのことは恨んだよ。でも、これで良かったんだ」



最初は、全部レッドのせいにしていた。

父は消息を断ってしまった。

けど、だからこそ



「アイツ等に出会うことが出来た。
R団が壊滅しなかったら、コイツ等にも会えなかったかもしれなかった」



愛しそうに、でも何処か不器用そうにボールを撫でた。



「ありがとう」



俺は、アンタにも救われたんだよ。



アンたか



俺は救われたんだ。




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