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□好きでいることに決めました
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俺には大切な人がいる。


その中でもアイツは傍にいて、俺には眩し過ぎる程の笑顔を見せてくれた。

俺も旅をしている立場だからそんな頻繁には会えないけれど、会えた時は凄く嬉しいけど凄く恥ずかしい。



「シルバー!」



アイツが俺の名前を呼んで走ってくる。

心臓は急に走り出し、身体は火照っていく。



「久しぶり!さっきさ、シロガネ山登ってたんだけどね」



シロガネ山にはチャンピオンであるヒビキと互角に戦える人がいる。



「レッドさんとバトルしたんだよ」



頼んでもいないのにヒビキは喋り続ける。

俺は内心顔をしかめた。

ヒビキは俺とは違って人懐っこい。

だから誰にでも好かれる。



「また負けちゃったんだけどね〜」



その笑顔の裏で努力してるのを知ってるし、負けず嫌いなのも知ってる。



「‥‥好き、か」

「へ?」



何を言ってるんだ俺は!


不意に零してしまった言葉に首を傾げていたヒビキに慌てて弁解する。



「いや、その、コトネのことは‥‥好きか?」



俺はその答えを知っていた。
ヒビキなら笑顔で



「好きだよ!」



と答えたから。


その『好き』はどんな好きなんだ?


親愛か友愛かそれとも‥‥恋愛か。


わからない。ヒビキの気持ちはわからないけれど。


俺はヒビキが好きだから。


男同士の恋愛なんて不毛だってわかってる。


それでも俺は



好きいること決め



叶わぬ恋だと知っていても



end

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