企画・リクエスト・記念
□せなかあわせ
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「は〜、結局俺の負けかよ!」
「グリーン」
「なんだよ!」
ウィンディをボールに戻しながらグリーンが吠えるのをほくそ笑みながら言う。
「イチゴオレ」
「は?」
「イチゴオレ、買ってきて。負けたんだからさ」
「〜〜っ、わかったよ!行ってくるから大人しくしてろよ!」
僕の頭に乗っていた帽子を取って、くしゃっと髪を撫でられる。
「ちょっとグリーン!」
髪を直しながら顔を見上げると帽子を振りながら僕に背を向けて歩き出していた。
僕は溜め息を一つついて、日のあたりのいい場所に座り込んだ。
足を伸ばして日の光を浴びているとバトルして疲れたのかピカチュウが膝に乗って丸くなる。
遠くで聞こえたチャイムを最後にいつの間にか僕は寝てしまっていた。
*
ギイィィっと錆びた重たいドアの開く音にうっすら意識が戻ってきたけど目を開けるのが億劫で。
慣れた気配が近づいて来るのはわかった。
「レッド?」
やっぱり近づいて来た気配はグリーンで。
うっすら目を開けて確認すると光が眩しくて思わず眉をひそめた。
「寝ちまってるのか?
‥‥しょうがない奴だな」
一つ優し気な溜め息をついてから僕の視界はいきなり暗くなる。
途端に広がるグリーンの香りにブレザーの上着をかけてくれたことに気がついて顔が熱くなる。
暗い視界の中、ふにゅっと唇に何かが押し当てられる感触がした。
何だろうと半分寝ぼけた頭で考えると今屋上にいるのはグリーンしかいなくて。
しかもこの柔らかい感触はもうアレとしか考えられなくて。
僕はどうしていいかわからず寝たふりを続けた。
ようやくソレが離れて僕はもう熱い所じゃない程熱くって。
以前寝たふりを続けると僕から離れて、グリーンは(多分倒れないようにしてくれたのだろう)背中合わせになった。
そしてその後いつもと変わらない大好きな呑気な声が聞こえる。
「いい天気だなー」
せなかあわせ
伝わる温度が心地よかったりするの。
end