携帯獸―Main2―

□僕らを繋ぐ糸
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「グリーン」

「お、レッド。来てたのか。今仕事中だからちょっと待ってろ」

「ん、」



レッドは短い返事を返し、勝手にグリーンのベッドにダイブする。
日に干された白いシーツには微かに嗅ぎなれたグリーンの香りがして、枕に顔を押し付けた。

腕に枕を抱き締めて、転がると何か固いものが頭に当たる。



「これ、なぁに?」



固いものを持ち上げて見ると、片手に入る緑色の機械に紐が繋がっていた。



「iPodだよ。音楽聞ける奴」

「ふーん」



適当にボタンを押しているとイヤホンから小さく音楽が聞こえてくる。



「っ!!?」



機械音痴な上に使い慣れてないレッドはびっくりして身を縮込ませた。

恐る恐るイヤホンを耳に当てると、ポップ系の曲が流れていた。



「あー!終わったぁ!
ってレッド!お前何聞いてんだよっ!」



ようやく仕事が終わったのか、大きく伸びをしたグリーンはレッドの持っていたiPodを奪おうとする。



「こら、返せって!」

「えー、やだ」



レッドがグリーンの猛追を交わしながらiPodの音楽を聞く。



「グリーンってこういうの聞くんだね」

「悪いかよ!ほら返せって!」

「そう言われ」



てもね、
と言っている途中にグリーンが隙をついて、レッドの手からiPodを取り戻した。

レッドは頬を膨らましてグリーンを見る。
正確にはグリーンの手にあるiPodだが。



「とーった!‥‥ん?どうしたんだよ、レッド」



グリーンにしかわからない僅かな表情の差を見つけたグリーン。



「聞きたかったのに」

「‥‥なんだよ。それを早く言えっての」



グリーンは左耳にイヤホンを入れると反対側をレッドに向けて突き出す。



「ほら」



レッドが意味がわからずに首を傾げるとグリーンは呆れた、でも少しだけ嬉しそうに笑った。



「聞きたいんだろ?」



顔が熱くなるのを感じながら頷くと、グリーンに習って右耳にイヤホンを入れる。



「じゃ、流すぞー」



そうグリーンが言った途端、いきなり大音量の音が流れ始めた。

意地悪でグリーンが音量を大きくしたのだ。



「!?」

「あ、悪ぃ。音量出し過ぎた」

「さっさと下げてよ」

「わかった。わかった」



大人しく音量を下げるとポップ系の曲が流れだす。

レッドは近くにあった雑誌を取ろうとして手を伸ばした。



「おいあんまそっち行くなって。ってオイ余計ひっぱんな!」



引っ張られていくイヤホンが痛かったらしいグリーンはレッドの腕を取って自分の方に引き寄せた。

抵抗もせずレッドはグリーンの胸の中に収まる。
抱き付くとレッドは甘えるようにグリグリと頭を胸元に押し付けてきた。
可愛い、そう思いながらグリーンはレッドの頭を撫でた。



「グリーン暖かい‥‥」



いつの間にか流れる音楽は優しいバラードに変わっていて暖かい日差しと共に眠りに誘う。

優しい音はまるで彼のようだった。

イヤホンから流れる優しい音とグリーンの心臓の音が合わさって心地よくていつまでもこうしていたい、そう思ってしまった。







あぁ!このまま絡まってずっと一緒にいれたら幸せなのに!



end
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